これは私の人生観です。兄貴と母親の影響が多いですね。親父は全然ダメです。道楽者で。僕の兄貴が借金だらけのうちを立て直してくれたんです。45歳で死んでしまったのですけれど、兄貴は真っ直ぐな道を歩く人でした。僕は回り道をしたり、近道をする方なんで、ものすごく怒られた。兄貴は正義派なんだな。そういう点が今度のバブルにうちが乗らなかったことにつながったと思います。

 私は顧客や従業員をおそろかにした資本の生産性というのはウソではないかという気がしています。顧客を忘れた、大きく言えばマーケティングを忘れた商売は、大きな間違いなのです。

 ある学者の方に聞いたら、ニッチというのは生活領域だと言うんだね。消費者というか、生活者という言葉は嫌いですけれども、ニッチな顧客の中に入っていかなくてはいけない。小さな生活領域に食い込んでいる企業は、顧客に喜ばれる商売をしているんですよ。

もう1回自己改革しないと

 企業が大きくなるとそれが違ってくる。自己改革しないといけません。だから、私どもも(グループで)5兆円の売り上げになってくると、またもう1回自己改革しなければいけない。

 しかし、自己改革は大きくなってくるとできないんですよね、なかなか。それはやっぱり保存本能が働きますから、官僚主義になるんです。それなら、分社化できるかというと、それも難しい。我々はマーケットから世の中を見ているつもりでしたけれども、マーケットを大づかみしているだけの話ではないかなと思うこともあります。

 時価総額だとか、ROEだとか、そういうことからすれば、私の会社はいい会社ですよ。正直なところ。でも、お客さんからどんどん離れてきているのではないですかね。あらゆるものが乖離するんですよ。これは宿命なんですよ、人間の。

 アイルランドにスーパークインという、16店しかないスーパーマーケットがあります。すばらしくいいですよ。鮮度とか、サービスとか、お客様に対するパーソナルタッチとか。ともかくすごい。ここの社長さんは、ほとんどのお客さんを知っているんです。うらやましいと思うね。もう1回、小さかったらそういう店をやりたいね。