47都道府県の地元密着型スーパーマーケットを訪ね歩き、従業員さんにインタビューをし、味とデザインの両面からおいしいものを探した新刊、『地元スーパーのおいしいもの、旅をしながら見つけてきました。47都道府県!』。

 その中から、出張で立ち寄った際に、おいしいのはもちろん、お土産として「自分で移動中に楽しめる」「数があって会社でばらまける」「家に持ち帰って家族を喜ばせる」ものを厳選し、日経ビジネスオンラインでご紹介していきます。

 第9回は富山県の富山市。

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 長野の軽井沢から陸路でやってきた富山市。改札からちょっとしたエキナカ商店街に入れば、あふれ返る海産物に目を奪われる。海の食文化圏であることをひしひしと感じる。

 富山駅からは立山黒部アルペンルートに通じる路線、富山地方鉄道に乗り換えて3つ目の大泉駅にある、最新店舗の「アルビス・高原町店」へ。富山のスーパーでは昆布そのもの、あるいは昆布を使った加工食品が非常に目立つ。香川が「うどん県」なら、富山は「こんぶ県」でもいいのではないだろうか。しかし店長さん曰く、最近京都に消費量トップの座を奪われてしまい、ちょっと残念とのことだった。

 さて今回も「車中(主に新幹線などの車内で、自分で楽しむ)」「会社(いくつか個数が用意でき、大人数に配れそうなもの)」「家庭(家族が喜んでくれそうなもの)」と、目的別に分けて選んでみた。

「車中」のためのお土産

「黒作」(蛯米水産加工)
「黒作」(蛯米水産加工)

 「東京の人は食べたことないでしょう?」と店員さんがすすめてくれたのが、富山独特の珍味で、イカの胴体にイカの肝臓とスミを合わせ、熟成発酵させた真っ黒い塩辛。レトロなラベルからも感じられるように、その歴史は長く、300年ほど前に保存食として作られたのが始まりとのこと。

 ほんのり甘い中にイカスミ独特のほろ苦さが感じられ、日本酒にピッタリ。駅弁をほどく前にチビチビ食べてみたい。唇が黒く染まるので、食後は付属のおしぼりでよく拭くことを忘れずに。

「会社」のためのお土産

「とろろ昆布」(メーカー各種)
「とろろ昆布」(メーカー各種)
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 富山で昆布といえばとろろ昆布。主におにぎりに巻くことが多く、味噌汁、吸い物にも入れる。そしてこの品揃え。小さな袋もあり、軽いのでまとめて買うお土産には最適。軽く、日持ちもするので、もらう方にとっても嬉しい条件が揃っている。

 大きく分けて白と黒(昆布の内側を使ったあっさりした味のもの、表面に近い部分を使った昆布の味わいが深いもの)があり、個人的に好みが分かれるらしいが、おにぎりには黒を使う人が多そうだ。ご飯に乗せるだけでも美味い。

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