47都道府県の地元密着型スーパーマーケットを訪ね歩き、従業員さんにインタビューをし、味とデザインの両面からおいしいものを探した新刊、『地元スーパーのおいしいもの、旅をしながら見つけてきました。47都道府県!』。

 その中から、出張で立ち寄った際に、おいしいのはもちろん、お土産として「自分で移動中に楽しめる」「数があって会社でばらまける」「家に持ち帰って家族を喜ばせる」ものを厳選し、日経ビジネスオンラインでご紹介していきます。

 第8回の目的地は、徳島です。

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 徳島駅から各駅停車で約2時間、人口約5000人の港町である。秋の陽射しの中、枝をわさわさとかき分けて進む一輛の列車に座っていると、目的地とは全く違うどこか遠くに連れて行かれるような気もして、妄想が止まらなくなる。

 訪れたのは牟岐駅からすぐの「オオキタ・ポルト牟岐店」。食品以外に洋品店なども入る小さなモールの中にある。駅の片側には港が、もう片側には険しい山がそそり立つ土地らしく、昔から大事に育まれてきた食品も多い。お年寄りが多いので、「とくし丸」という訪問販売カーを巡回させるのもスーパーの大切な役目。とても頼りになる存在なのだ。
 今回も「車中(主に新幹線などの車内で、自分で楽しむ)」「会社(いくつか個数が用意でき、大人数に配れそうなもの)」「家庭(家族が喜んでくれそうなもの)」と、目的別に分けて選んでみた。

「車中」のためのお土産

「太刀魚チップス」(泉源)
「太刀魚チップス」(泉源)

 「魚を自分で買ったことがない」とほとんどの店員さんがいうとおり、一年中様々な魚が獲れる牟岐。駅から歩いてすぐの港にはいくつもの漁船が停泊し、家々からは魚を煮付けたような甘塩っぱい香りが漂う。

 そんな牟岐発の地元ブランドの甘辛魚チップ(みりん干し)は、オシャレな黒猫のキャラクターで、2015年には世界的なパッケージデザイン賞も獲得。新幹線というよりはローカル線のボックスシートで、ゆっくりと移り変わる景色を見ながらビールやチューハイを片手に食べたくなる。

「会社」のためのお土産

「味付のり」(日の出印)
「味付のり」(日の出印)

 徳島のスーパーを何軒か取材しているが、店員さんたちの人気が最も高い食品がこの、のり。食卓になくてはならないと断言し、旅行や出張にも携えて行く人もいるくらいだ。大瓶から片手に乗るほどの小さなパックまで、用途にあわせて種類を選べる。

 ほんのり甘いみりんの味付けは、小腹が空いた時のおやつにも、おかずが少ないと感じる時のお弁当のお供にも重宝する。小さなパックなら場所も取らないので、オフィスの引出しに入れておいてもじゃまにならない。意外と喜ばれるお土産だ。

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