
質疑応答では進まぬ現状にいら立ちを覚える株主から厳しい追及の声が相次ぎ、時間は2時間をゆうに超えた。高田社長は声も小さく、「聞こえない!」などヤジが飛ぶなど、昨年よりも荒れた。質疑応答における株主と高田社長の主なやりとりをQ&A方式で取り上げる。
株主:リコール対象の自動車を持ってきた人に謝礼を払ってはいないのか。そうすれば巨額の賠償の可能性がある死亡事故が起こる前に、製品を回収できるはず。
高田:そのような仕組みにはなっていない。たとえばアメリカでは事故発生リスクに応じて各州を3分類し、優先順位を付けて回収をしている。お考えは貴重なご意見として受け止める。
この株主は「貴重なご意見など、いい加減な言い方をするな!」と激高。この後の厳しいやり取りを予感させる最初の質問だった。
株主:新聞報道によると、アメリカで多くの死亡事故が起きて深刻な状況だ。しかし高田社長は昨年の11月以来、会見を開いていない。時間がないことなどを理由としているが不誠実だ。母親の意見を聞かないと答えられないのか。
高田:私の説明責任についてだが、なかなか思っているほどできてない。反省している。言い訳になるが、アメリカ当局への対応をしっかりやるべく進めていた。説明不足については申し訳ない。ただ、アメリカではリコールの範囲について修正合意を得て進展した。今後は機会を持って説明していきたい。
原因が判明しているリコールの内容をタカタは「α事案」、判明していないものを「β事案」と呼んでいる。β事案はリコールの規模が確定していないため、リコール費用の全貌が見えておらず、事業継続における大きなリスク要因になっている。株主からはこの点への質問が出た。
株主:まだ原因が判明していない「β事案」のリコール費用の負担割合はどうなるのか。
高田:我々と合わせて外部の専門家で構成する第三者委員会と協議しながら、自動車メーカーと協議する。自動車メーカーそれぞれとの協議なので、どうなるかは一概に言えない。(第三者)委員会と協議しながらとしか今は申し上げられない。
株主:インフレータ部門の見直しはどうするのか。
高田:エアバック問題の原因となったインフレータの部門についてだが、インフレータ専業メーカーと協業しながら再起したい。現時点で売却など決まった事実はない。
株主:莫大なリコール費用負担を抱えて、株主としてタカタは大丈夫か、存続できるのかと不安になる。投資ファンドのKKRなどの名前が出ているが、外部のバックアップがないとこの先は切り開いていけない。高田社長は社会の信頼を回復と発言したが、まずは株主の信頼を回復できるような言葉はないのか。
高田:おっしゃるとおり状況は厳しい。他方ですべての自動車メーカーと協議するなかで、ありがたいことにほぼ全ての自動車メーカーから、「タカタには急におかしくなってもらっては困る」、「継続して製品を供給してほしい」と言われている。その条件の中で、金融機関もサポートしてくれる。事業を継続するという前提で第三者委員会に案を出してもらう。事業は継続するのでご理解いただきたい。
ここまで終始、マイクを使いながらも小声で聞き取りにくい高田社長の発言。業を煮やした株主から「聞こえない!はっきり話せ!」とヤジが飛んだ。
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