「売り上げはお客様の信頼の証」

 監査報告や2016年度の事業報告が終わった後、福原氏は今後の事業戦略について自らの言葉で説明を重ねていく。

 新しい取締役については、「内外の英知を集結する」として社内取締役3人、社外取締役6人で構成されることを説明。これとは別に、5月中旬には経営戦略委員会を設立。社内や社外の役員のほか、外部有識者などを交えて議論する場を設けているという。「既に6回まで回を重ねている」(福原氏)と説明し、再建に向けた議論が活発に進んでいることを強調した。

 経営体制についての説明を終えた後、福原氏はベネッセ創業者の言葉を挙げた。

 「売り上げはお客様の信頼の証、利益は経営陣の努力の証」

 この言葉を今こそかみしめるべきとし、進研ゼミやベルリッツの「変革」と海外教育事業、介護や学校事業の「成長」に向けた戦略について説明し始めた。説明によると、中国事業などは2006年からスタートして急成長を遂げているようだ。中国での会員数も、今年7月には100万人を突破する見通しだという。

 また介護事業では全国200以上のベネッセ介護施設の入居率は93%。学校事業でも、ベネッセの教材などを活用しているのは、全国の高校の約9割に達するという。一方で、中核事業となる通信講座「進研ゼミ」には喫緊の対策が必要だということも分かった。

 進研ゼミの会員は2012年4月には409万人だったが、2013年4月に385万人、2014年4月に365万人と、少子化の影響などで減少傾向が続いていた。そして2014年6月、個人情報の漏洩事件が明るみになる。すると翌2015年4月の会員数は271万人まで減少。2016年4月も243万人と減少は止まらない。

 減少を少しでも食い止めようと、ベネッセでは今年4月から新サービス「進研ゼミプラス」を投入した。だが現時点では順調とは言えないようだ。福原氏はその原因を、「顧客ニーズとのギャップを埋められず、(進研ゼミプラスの)価値の訴求にも時間がかかった」と説明した。

 グループ傘下で語学やグローバル人材を担うベルリッツコーポレーションについても、苦戦が続く。同社は1993年にベネッセに加わった。全米最大の留学支援事業会社だったが、大幅に利益が減るという。理由は、「これまでは、サウジアラビアの国費留学生を、ほぼ独占的に支援していたが、国費留学の学生が大幅に減少する。ここの利益率が高かったため売り上げの3割、利益の8割が減少する」(福原氏)というのだ。

 中国や介護などの成長分野を伸ばすと同時に、進研ゼミやベルリッツなどの不振事業をいかに再建するか。福原氏をトップとする新体制は、船出から厳しい環境に直面する。事業戦略を語った福原氏は、改めて、創業者の言葉を振り返りながら、言葉を重ねていく。