


6月25日、ベネッセホールディングスは、第62期定時株主総会を開催した。2016年3月期の決算では、2017年3月期まで、3期連続の減収減益となる見通しを明らかにした。2年前の2014年6月、日本マクドナルドホールディングスから、ベネッセに転じた原田泳幸氏は同社の会長兼社長として事業再建に着手。だが就任直後に個人情報の漏洩事件が勃発。その事件の影響で中核事業である通信講座「進研ゼミ」の会員数は急速に減少していった。
事業の立て直しは叶わず、2017年度を含め3期連続減収減益見通しとなった責任をとって、原田氏はベネッセから去ることを決断した。原田氏の後を担う新経営陣は、事業再建についてどのように説明するのか。また原田氏は退任の日、株主に何らかのメッセージを残すのか。それが、今回の株主総会の一つの見どころとなっていた。
株主総会では、経営陣から株主に対し何が語られたのか。株主の協力を得て、この日、議論された内容を紹介する。
開始時間は午後1時半。通常、首都圏の株主総会では朝10時にスタートする企業が多い。午後にずらしたのは、遠方から訪れる株主を配慮してのことだろうか。午後1時半、時間ぴったりに、株主総会はスタートした。
冒頭、議長席に立ったのは、副社長兼CAO(最高管理責任者)の福原賢一氏。退任する原田氏の姿は見当たらない。すると福原氏は次のように説明を続けていった。
「原田は本日をもって会長兼社長を退任する。そのため本総会も新経営陣に運営を委ねるとして本日は欠席しています」
確かに原田氏は5月、2016年3月期の決算説明会で、退任すると表明した。本来ならば、集まった株主らにも直接、3期連続減収減益見通しとなったことについて自分の言葉で説明すべきであろうが、欠席したという(原田氏退任の詳細は「ベネッセ原田社長、改革挫折で涙の引責辞任」を参照)。
ただ、原田氏の欠席が発表されても、株主らから驚きの声は聞かれず、淡々と議事が進む。原田氏の欠席を受けて、議長を務めたのは副社長(総会開始時点)の福原氏だ。
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