「後継者を誰にするかは考えていない」

 質問は多岐にわたり、最近話題となっている後継者やガバナンスの問題について、株主から問う場面があったという。現在、ゼンショーHDでは、小川会長兼社長の子息である小川一政氏が常務取締役を務めているため、株主からは「後継者に考えているのか」といった質問も出た。

 小川会長兼社長は「ゼンショーは上場以来、『資本と経営は車の両輪』という基本認識。私は40%を超える大株主で、資本の側面とグループ経営の責任を負う立場にある。両者は関連しているが、機能は別だ。グループの社長たちは、切磋琢磨している。次のグループを担う人は常に育てているし、誰がということは考えていない」などと説明したという。

 また、「いつ1兆円企業になるのか」「今後行うM&Aの方向性は」といった今後の成長に関する質問に対しては、「M&Aは検討している案件はいくつかあるが、私の口からは言えない。私は、売上高の目標をCEO(最高経営責任者)の立場で言ったことはない。1兆円の売上高は、当然通るべきプロセスであって、目標ではない。可及的速やかにやりたいが、何年で達成するかは不確定。でも、それだからゼンショーグループは面白いと思っている」と話した。また、M&Aを担当する竹井功一専務取締役は、「国内外で、食と何らかのシナジーがあるもの、レストラン、小売り、介護などの分野で積極的に検討したい」と回答した。

 ゼンショーHDとしてのブランドの今後の打ち出し方についての質問もあった。質問した株主は各事業や業態のブランドは知られているが、それぞれが同じHDであることがあまり知られていないと訴えたかったようだ。

 小川会長兼社長は、「これまではゼンショーのブランディングはやってこなかったが、もっと知ってもらうために昨年からウェブサイトを充実させたり、グループを紹介したムックを出版したりした」と説明。また、すき家の工場で作ったサラダをパックにして、ゼンショーのブランド名を付けて、傘下のスーパーで販売し、好評を博していると説明。今後は加工度の高い食品も出して、認知度を高めたいと語った。

労務環境の改善状況を強調

 介護事業の説明に関連して、職場の待遇改善や社内コンプライアンスの状況についての質問も出た。これについて國井義郎常務取締役が回答。「すき家は、昨年2月以降は月80時間以上の残業をする人はゼロとなり、毎月それを達成している。昨年から約1年かけてグループ会社も含めて、時間管理の徹底や従業員との対話の時間を設けるなどして改善に努めている」といった説明があった。

 このほか、外食企業の株主総会では恒例となっているメニューやサービスに関する意見や指摘が相次いだ。例えば、すき家で「牛丼のつゆの油が多い」「牛丼にみそ汁をつけてほしい」という意見や、ファミリーレストラン「ココス」のイチゴの質が、店によってばらつきがあったといった指摘がなされた。小川会長兼社長や興津龍太郎取締役は、今後の対策としてマニュアルの徹底や改善活動、社内での検討を進めると返答したという。

 質疑応答ののち、議案事項の採決は、拍手をもって全て承認、可決された。今回の株主総会では、株主にお土産が用意されていた。だが、想定を上回る来場者で足りなくなるという一幕も。もらえなかった株主には後日配送するとのことで、帰り際に宛名を書いて帰る株主の姿が見られたという。