飯田氏の大所高所からの意見が経営には欠かせないと繰り返し強調する中山社長。ただ、高齢の飯田氏が取締役として「現役」を続行する以上、取締役会にどのように関わり、どのような役割を持っているのかを明らかにすることも必要ではないか。このほか、飯田氏に関する質問では以下のような2人の株主の発言が目立った。

株主
「昨年度の取締役会は12回開催されたということだが、飯田さんは何回出席したのか」

中山社長
「社内の取締役は常に社内で議論をしているため、会社法上の立てつけとして事業報告では出席回数の開示などは義務付けられていない。出していないからという意味ではないのだが、飯田最高顧問は本当に必要なとき、大きな議論に必要なときは出てきているが、それ以外のときには出席をしていない。回数が何回かというのは申し上げにくいところだが、そうご理解をいただきたい」

株主
「飯田最高顧問については、取締役最高顧問を辞めて『名誉取締役』とでもいうのか、そういった立場に就かれた方がいいのではないか」

中山社長
「名誉取締役というものが現状の日本の会社においてあるのかどうか分からないが、最高顧問は非常に重要な役割、大所高所の見地からアドバイスをいただいている。取締役のメンバーとして参加してもらうのが、私としては一番いいと考えている」

問われる創業者との関係

 次々に繰り出される株主からの質問や指摘に、中山社長は冷静かつ丁寧に答えていった。発声も分かりやすく答えに詰まることもなく、飯田氏への意見については「本人にきちんと伝える」と繰り返すなど、株主への配慮も目立った。

 こうして進んだ株主とのやり取りを経て、11時55分ごろには2点の決議事項について採決が行われ、無事に承認、可決がなされた。新任の取締役の紹介も終え、閉会したのは11時59分。トータルでかかった時間は昨年より50分長い1時間59分、出席した株主の数は昨年より78人多い550人だった。

 終了後に話を聞いたある男性株主は、飯田氏より1歳年下の82歳。長年セコムの株を持ち、飯田氏を応援してきたという。「セコムの総会は毎年うまくまとめているイメージで、中山さんの司会ぶりもうまかったね。ただ、飯田さんが引退したらという意見が出てくるのも分からないではない。色々な声もあるだろうし……」と苦笑した。

 飯田氏が日本を代表するカリスマ経営者の1人であり、まったく新たなビジネスモデル、市場を作り出した功労者であるのは疑いがない。ただ、5月の会長・社長の解職騒動があり、また個人的な財産管理の問題とはいえ、世界を揺るがすパナマ文書との関わりが取りざたされている以上、株主の関心が飯田氏に集まるのは当然だ。

 今回の株主総会でも多くの株主は、こうした問題に対する飯田氏の肉声での説明や反論を期待してきたはず。体調不良でやむなしとはいえ、株主にとっては残念な結果となった。寄せられた意見や懸念の声をどのように受け止め、創業者との関係や経営のあり方をどのように考えるのか。就任したばかりの中山社長をはじめとする経営陣に突き付けられた課題は重い。