ある男性株主は、今春に企業・富裕層の租税回避の実態を暴き世界中で注目される「パナマ文書」と飯田氏の関係を問いただした。これは、飯田氏や共同創業者で元最高顧問の故・戸田寿一氏らにつながる複数の法人が1990年代に租税回避地に設立され、当時の取引価格で計約700億円を超す大量のセコム株が管理されていたことが明らかになったもの。会社側は一連の報道に対し、「法律的に問題はない」との認識を示している。

株主
「パナマ文書というものが明らかになり、メディアなどで大きく取り上げられている。飯田氏の名前も含まれている。法的には問題がないと思うが、一般世間から見れば道義的には問題があると言えるのではないか。税金逃れでやったものか、事業を起こすために海外に資金を移したのか、分かる範囲で教えてほしい」

中山社長
「私も飯田最高顧問と話をしており、聞いた内容をお伝えする。そもそも本件は個人の財産管理の問題だが、法的な部分はどうなのか、きちんと確認させていただいた。最高顧問としては、今回の事実関係その他必要な情報は税務当局に随時開示しており、対応しているということ。法律の専門家にも話をし、適法性について意見をもらったうえで実施したということだ。租税回避の事実はなく、法的には問題がないということで対応したと聞いている。きちんとした手続きであるため、問題はないと私も考えている」

 また別の男性株主。取締役選任の過程について2点質問した。

「大所高所からのアドバイスは重要」

株主
「取締役候補を決める議論のなかで、飯田氏が取締役から外れるという議論はなかったのか。また、各候補者の経歴を見ると、金融系や管理部門の経験が長い人が多いように思う。現場や技術系の方が少ないが、セコムにとって技術は非常に重要な部分。経営上の判断を誤るようなリスクはないのか」

中山社長
「我々は指名・報酬委員会で人事案を議論しているわけだが、取締役にふさわしい基準が社内的には存在する。その基準に沿って具体的な名前を出して議論を深め、取締役会で決めるわけだが、今回飯田最高顧問が退任した方がいいかという議論が出たかと言えば出てはいない。やはり、飯田最高顧問の経験、大所高所からの的確なアドバイスは非常に我々としてはありがたいと考えている」

 「2点目についてもご心配はよく分かるが、我々としても慎重に議論しているところ。コーポレートガバナンスの観点、また広い視野に立った人材ということで今回の決定に至っている。一方、セコムにおいては、取締役は非常に重いポストだが、同時に執行役員も重要。業務を執行するこのポストについては技術系の人材も充実している。より役員同士が連携できる仕組みを作り、議論を深めていこうと考えている」

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