男性株主:「去年に引き続き質問や。シャープの携帯電話買ったんやけど、1年2カ月で基盤がいかれたんや。人間でいえば心臓か脳やで。こんな製品を作っているからつぶれるシャープになった!!私もシャープに文句言ったで!どういうことや!こんな品質管理だから今日のシャープになった!債務超過はかっこ悪い。こんな会社の社長ってどんな顔してまねんと聞いたら、こんな顔してますと言いました。覚えてはりまっか!」
髙橋社長、たまらずにやける。久しぶりに笑っている髙橋社長を見た気がする。
まだまだ続く3人目の株主の攻勢。
男性株主:「もっと役員なら事業の責任をもってやったらどうや!そんなんで退職金とるんでっか。そんなん舛添と一緒ちゃいますか!!」
会場から拍手がおきる。髙橋社長が「2008年以来、退職金はありません」と答えると、男性株主が「あたりまえやん!」と突っ込む。どっと沸く会場と、報道陣のいるモニター室。
「あなたは経営の能力ゼロです!」「あなたを信用していません」「早いこと辞めてください!」との厳しい言葉を浴び続ける髙橋社長。時折苦笑いを見せながら真摯に聞いている。
「JDIに勝ってほしい」
その後も株主の熱い答弁が続くが、たまらず髙橋社長は次の質問者へと促す。
男性株主:「広島からきました。私は鴻海に決まってホッとしています。産業革新機構傘下のジャパンディスプレイ(JDI)の株主でもあるんですが、株を買ってすぐにJDIは業績を大幅修正した。投資家を馬鹿にしているようなJDIとシャープがくっつかなくてよかった」
「(シャープは)JDIにはぜひとも勝ってほしい。アップルが今後iPhoneのディスプレーを液晶から有機ELに変えると聞いている。御社の開発状況を聞きたい。是非とも頑張ってほしいと思っている」
今回初めてシャープに対する応援の言葉が出た。JDIに相当怒っているようだ。
ディスプレイデバイス担当の執行役員、桶谷大亥氏(元SDP社長、鴻海に近い)が登壇。
桶谷氏:「ありがたく力強いお言葉に感謝申し上げます。弊社の液晶の強みですが、LTPS(低温ポリシリコン)の戦いではそんな差もありませんでした。シャープの優位な技術は『IGZO(イグゾー)』です」
「LTPSとIGZOを融合した力があることに加え、小さいサイズから大きいサイズの液晶まで作れます。120インチクラスまでいけます。鴻海さんのお力を借りながら全力で頑張っていきますので期待していただきたい」
「有機ELに関して。量産ラインは持っていないが、10数年来に渡って基礎研究はしている。特許についても一番とは言わないがそれなりにある。鴻海さんの力を借りるということは、お客さんもいる。生産能力もある。早急に技術を確立して追い上げたいと思っています」
鴻海傘下で海外戦略は大きく変わる
続いての質問は、シャープOBで米国の責任者に抜擢してもらったという男性株主。米国でシャープブランドを普及させたといい、ブランドに対する思いを熱く語る。
OB株主:「海外戦略が見えていない。すべて鴻海さんに任せるつもりなのか。具体的に教えてほしい。高齢化社会の商品戦略についても具体的に」
髙橋社長:「鴻海と組んだことで今後、海外戦略は大きく方向性を変えていくことになります。これまでは撤退方向でやってきた。しかし、鴻海の出資が終われば大きく変わると思います」
「高齢化社会向けの商品戦略ですが、例えばロボホンは、ドクター佐々木(電子工学技術者でシャープの元副社長である佐々木正氏のこと)のお力を頂戴し、ロボット、どうや、となって誕生しました」
野村副社長:「鴻海という会社は15兆円を超える売り上げを誇ります。新しい役員での議論になるが、グローバルの生産能力、調達、技術、顧客基盤などを強化し、中国、アジアだけでなくヨーロッパやアメリカも含め全方位でやっていきたいので、期待していてほしいです」
質問や回答の間にも「退任しろ」など髙橋社長へのヤジが飛ぶ。
次の男性株主も髙橋社長に対し厳しい言葉を浴びせ続ける。
男性株主:「鴻海の郭さんが信賞必罰をやると言っていたけど、まず役員にやるべきだ。あなたが舛添さんみたくなりたくないなら全額役員報酬を返済すべき。奥さんも分かってくれるだろう。人材の流出だ。(受け皿となっている)アイリスオーヤマもサムスンも喜んでいるぞ!」
髙橋社長:「役員賞与は株主の皆様にご迷惑をおかけしておりますので、2012年からゼロであります。ご指摘、真摯に受け止めます」
などと返し、次の質問者を促す髙橋社長。前の質問者がヤジを飛ばすなか、次の質問者へ。
Powered by リゾーム?