「大戸屋ファン」の激励

 その後も株主が次々質問に立つが、多くは大戸屋HDに対する激励の言葉や、商品品質の高さに対する評価が目立った。ある男性株主は「冒頭に説明をしてもらいよかった。これからも役員が一致団結して大戸屋の価値を上げていってほしい」と話し、別の男性株主は「真面目に実直に定食をやり続けている企業理念は非常に素晴らしい」としつつ、「そうはいっても利益を上げるため、海外事業を本気でやってほしい」と注文をつけた。

 最後となったのは10人目の質問に立った男性。やはり「大戸屋ファン」としての熱い気持ちが質問内容に込められていた。

株主

「大戸屋の味が好きで、上場当時から株を持っている。ただ、企業は大きくなったが、足元では味の追求ではなく、オペレーションの改善によって利益を上げていこうという姿勢になっているのではないか。窪田社長はどのような会社にしていきたいのか」

窪田社長
「オペレーションの改善だけではなく、もちろん美味しい料理を出していくことが大事。ただ、オペレーションについては現在人材の確保が難しくなり、見直しをしている。決してオペレーションだけで利益を上げていこうと考えているわけではない」

 こうしてすべての質問が終了し、議案の採決に移る。第1号議案について窪田社長が「本案にご賛同いただける株主の方は拍手をお願いします」と促すと、会場内に拍手が沸き起こった。「万雷」という雰囲気ではないが、誰かが声を荒げるような様子はみじんもない。窪田社長は淡々と、「書面、またはインターネットによって議決権を行使された方を含め、賛成多数と認め、本案は原案通り承認、可決されました」と話した。第2号議案についても同様に、スムーズに可決された。

経営陣が問われるのは今後

 こうして、冒頭の窪田社長の説明から1時間20分で、紛糾が予想された株主総会はあっさりと終了。開催時間は昨年より10分長いだけだった。ちなみに、今年出席した株主は1494人で昨年より214人多い。

 終了後、会場の外で「株主質問の時間が短い」など社員に苦言を呈する人もいたが、ほとんどの株主は穏やかな表情で帰路についていった。創業家の今後の動向には不透明感もあるが、経営陣としてはまずは株主総会という大きなハードルを乗り越えた格好だ。

 ただ、外食業界の競争が厳しさを増すなか、大戸屋HDの成長路線が壁に突き当たっているとの指摘は多い。海外でも今年2月に赤字が続いていた中国の子会社を清算すると発表。収益確保に向けた戦略の練り直しも迫られている。市場の信頼を獲得することも含め、経営陣の力が真に試されるのはこれからだ。