(2016/6/22 10:17)

 10時17分、室町社長が再び説明を始める。昨年の不正会計問題発覚以降、ガバナンスをどのように強化しているのか、再発防止策をどのように実施してきたのか、などの説明が続く。取締役会の人数を減らし、過半数を社外取締役とし、取締役会議長を社外取締役としたという。こうした対策を淡々と読み上げていく室町社長(今年は多くの企業でガバナンスを巡る問題が勃発した。そこで日経ビジネス6月20日号では改めてガバナンス特集「ストップ 暴走社長 経営者が語る『我が抑止術』」を組んだ)。

 室町社長は、「当社は改革を進めており、株主の皆様からの信頼を取り戻すべく引き続き全力で取り組む」と締めくくった。続いて、東芝グループの経営理念について説明。「経営理念に今一度立ち返り、経営を進めていく」「改めて法令を遵守するとともに、企業風土を変えていく」「その上で財務基盤を強化しながら、健全な会社へと立て直していく」と言葉を重ねる。

 そして注力領域についての説明を始める。

 1つめの注力事業はエネルギー。原子力発電や火力発電などのほか、クリーンなエネルギーを作る、送る、貯める技術やサービスを、世界に提供することで低炭素社会を実現するという。2つめの注力分野は社会インフラ事業。公共インフラ、ビル施設、産業システムなど、それぞれについて淡々とした説明が続く。3つめの注力分野がストレージ事業。フラッシュメモリーやSSDについてだ。「高いシェアと最先端技術を持つSSDやフラッシュメモリーを通じて情報化社会の基盤を作る」とし、2016~2018年に累計8600億円規模の投資を実施するという。

 続いて全社の事業計画についての説明に入る。2016年度は再生への第一歩として注力事業への集中を徹底し、財務基盤を着実に整えて資本市場への復帰を目指すという。

(2016/6/22 10:31)

 10時31分、室町社長による報告が終わった。そして決議事項の上程とその説明を続ける。

相談役退任後は「名誉顧問」に

 第1号議案は資本金の額の減少について。巨額の赤字計上によって、東芝単体の財務基盤が傷んだのが背景にある。第2号議案は定款変更について。これは相談役制度を廃止するためだ。第3号議案は取締役10人の選任について。現取締役は本株主総会をもって任期満了となるので、指名委員会の決定に基づいて10人の取締役を新たに選任することになる。最後に第4号議案は会計監査人の選任について。新日本監査法人から、PwCあらた監査法人に変わるという。

 なお、相談役だった元社長の西室泰三氏と岡村正氏は、今回の株主総会後「名誉顧問」に就任する。東芝は専用の部屋とクルマを用意するとしている。

 今年の株主総会では室町社長、社外取締役の伊丹敬之氏、取締役の牛尾文昭氏が退任し、不正会計時から務めている取締役はいなくなる。

 新任取締役は社内から2人。ウエスチングハウス会長など、原子力事業を率いた志賀重範氏。志賀氏は会長に就任する予定だ。もう一人は、半導体事業を担当してきた成毛康雄氏。社外取締役については伊丹氏が退任する以外は変更なく、6人の再任を求めている。

 室町社長がそれぞれの議案について説明を終え、いよいよ質疑応答が始まった。と思ったが、東芝では事前に株主から具体的な質問を受けており、主要な質問については、まずは成毛副社長が、一括してそれらの質問に回答するという。

 株主は事前に東芝にどんな質問を送ったのだろうか。東芝側は「多くの株主様から多くの質問を頂戴した」とし、株主の関心の高いものから適宜、質問の趣旨を要約して回答していく。

「顧問制度は廃止できないのか」「必要な時だけにする」

Q「今回の会計処理問題は不適切会計、不正会計、粉飾決算のいずれに該当するのか」
A「(お詫びの後)今回の会計処理問題についどのような言葉を用いるのが適切なのか、当社としては判断できない」「当社としては今回の問題を真摯に受け止め、二度と同じ問題を起こさないことが重要」「全社一丸となって再発防止に取り組んでいく」と説明を重ねた。

Q「顧問制度を廃止できないのか」
A「役員退任者については、これまで社長、会長などの退任者が就任してきた相談役を廃止し、顧問制度もこれまでのような役員退任者が着任してきたような制度は廃止し、対外的に不可欠となる場合のみ必要な役職者を就ける」

 室町社長は株主総会後、特別顧問に就任する。

Q「減損処理を実施したが、前回の臨時株主総会での説明は偽りだったのか」
A「昨年の臨時株主総会時点では減損の兆候はなかった。だが今回実施した減損について、原子力事業の将来計画に変更はなかったが、割引率などを考慮して最終的にのれんの減損を実施した」

 東芝は2016年3月に実施した減損テストで原子力事業の時価が簿価を下回ったため、減損に踏み切ったとしている。

Q「なぜ今年4月に減損したのか。東芝メディカルシステムズが(6655億円で)売却できたからなのか」
A「東芝メディカルシステムズの売却と原子力事業の減損処理との間には何ら関連性はない」「のれんの減損テストについては事業ごとに実施している」

Q 「ウエスチングハウスの買収は経営判断の誤りではないか」
A 「原子力発電プラントについては国内外で堅調である」とし、事業の詳細を説明。買収の正当性を裏付けるかのように原発事業が好調だと説明を重ねた。

Q「世界の原子力発電の情勢はどうなっているのか」 
A「アジアを中心に電力需要の伸びを受け、世界で400基以上の新設が見込まれている。安全性の高い原子力発電プラントの受注拡大に取り組んで行く」

 淡々と資料を読み上げ、事前に受けた質問に対して回答していく。「株主の質問は貴重な意見としてたまわり、一丸となって最大限の努力をしていく」と成毛副社長は締めくくった。

(2016/6/22 10:55)

 10時55分、株主総会の開始からおよそ1時間経った頃、来場した株主との対話がようやく始まった。この先の進行の段取りについて室町社長が説明。「このように進行したいと思うが、いかがでしょうか」と会場に問うと、ここで初めて、会場から拍手が出る。質問は1人1問、2分と釘を刺す。株主の質問が始まった。

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