6月22日、東芝の株主総会が開かれた。不正会計問題に揺れる東芝は、昨年9月末の臨時株主総会以降、室町正志社長を軸とする新体制で事業の建て直しを続けてきた。だが、今回の株主総会をもって室町社長は退任する。最後に集まった個人株主らにどのようなメッセージを伝えるのか。また減資や次期経営陣らを決める決議は、すんなりと株主に受け入れられるのか。

6月22日、東京都墨田区の両国国技館で開かれた東芝の株主総会

(2016/6/22 9:00)

 東京都墨田区の両国国技館で、東芝の第177期定時株主総会が開催された。開催のおよそ1時間前、両国駅西口では「東芝事件株主弁護団」がチラシを配付している。一連の不正会計で株価が下落した損害を賠償させるため、全国で損害賠償請求訴訟を起こしている。

両国駅西口で「東芝事件株主弁護団」がチラシを配付していた。一連の不正会計で株価が下落した損害を賠償させるため、全国で損害賠償請求訴訟を起こしている

 6月3日段階の訴訟の参加者は原告387人、請求総額は約14億円。6月22日の17時から東京・上野で原告側弁護士が説明会を行う。そこへの参加を促すため、株主にチラシを配付しているのだ。

 集団訴訟は東京、大阪、福岡、高松の4地裁で起こされている。弁護士が配付したチラシによると「法律上、粉飾決算を行った会社に対して、株主は、粉飾決算によって株価が下落した場合には損害の賠償請求ができると決められている」

 総会に向かう株主(60代男性)に話を聞く。「株価下落によってかなり損を出した。これまでの経営陣が無能だったということだろう。年功序列を廃し、能力がある人がトップになれば良いんだけど。期待できるかどうか。まあ、株主総会での発言をしっかり見せてもらいますよ。不正については、メディアも厳しく指摘してくれないと困るからね。しっかりしてよ」。

 2015年は株主総会が2回に分けて開かれる異例の展開になった。6月の「定時株主総会」と9月の「臨時株主総会」(詳細は「資本主義ってなんだ!」を参照)。臨時株主総会では不正会計の責任を追及する株主が続出し、3時間50分のロングランとなった。果たして今回はどのくらいの時間がかかるのだろうか。

(2016/6/22 10:00)

 10時ちょうど、株主総会が始まった。

 室町正志社長が、「おはようございます」とあいさつをし、「第177期定期株主総会を開会いたします」と厳かに口火を切った。本日の室町社長は濃紺のネクタイ、濃紺か黒地に薄くストライプの入ったスーツを着用。正面を見ながら、淡々と説明を始めていく。「株主の皆様にはこの1年間、ご迷惑とご心配をおかけしており、配当金も見送り、誠に申し訳ございませんでした」「このような状況下でも株主の皆様からご支援いただいておりますことを、心から感謝申し上げます」。

 室町氏は自分の言葉で、今回の株主総会後に社長職を退任し、特別顧問に就くことを説明。医療機器事業などを率いた綱川智新社長にバトンタッチすると話した後、出席の株主数、議決権数の説明を続ける。

 東芝の株主総会が開催されている場所は、東京・両国の国技館。東芝は毎年ここで実施している。メディアの控え室は地下の力士支度部屋。取り組み後の力士に合わせているからか、空調が異常に効いていて寒い。詰めかけたメディアの数は、昨年6月の株主総会と比べると3割程度減った。東芝問題についての世間の関心が薄れているのだろうか。

 室町社長は第177期の事業報告や連結計算書類、監査結果などについて一括して説明を始める。正面を見て淡々と語り続け、その後、ビデオで前の期の業績などを説明していく。

 今回の焦点は、綱川智新社長と志賀正志新会長の抱負にある。過去の不正会計に真摯に向き合っているか、株主がどのような発言を引き出せるかが注目だ。
(一連の騒動の詳細は日経ビジネス 検証・東芝「なぜ、名門企業は不正会計に手を染めたのか」参照)。