
新貝さんが指摘した通り、様々な問題やトラブルは現場で起きます。大規模変革の最中では、現場の社員一人ひとりがそれに対応しなくてはいけません。ところが、その社員たちは「変革したって何も良いことなんて起きない」「うまく実行できるはずはない」と思っています。この状態で変革を成功に導こうとしても無理があります。
大規模変革の間に社員の士気が低下してしまうことは数字にも表れます。
「1日に社員1人当たりの生産量が2時間分も落ちてしまう」
「欠勤者数が2倍に増える」
「重要な社員の20%が退職する」
こうした事態が発生する企業もあります。大規模変革は「やり遂げること」が非常に難しいのです。
大規模な変革をうまく進められる組織、進められない組織を比べてみると、うまく進められない組織は、変革を発表した瞬間からパフォーマンスが落ちるのに対し、変革をうまく進められる組織、JTのような会社はパフォーマンスを維持し続けます。すべての社員がハイレベルで働き、あるタイミングからパフォーマンスを向上させ、価値上昇を実現していきます。
うまく変革すると株主利益は3年で35%アップ
言うまでもありませんが、企業が大規模変革を行う長期的な目的は成長していくことです。
M&Aでいえば合併日、統合日を迎えるのが目的ではありません。それはあくまでもスタート。合併後、統合後に成長をしていかなくてはいけないのです。社員の士気を高め、ハイレベルで働く環境をつくらなくてはいけません。
そのためにはどうすれば良いか。
新貝さんも説明していましたが、リーダーやプロジェクトチームが一方的に変革の方向性や新しい戦略、目標を決めて「はい、これやって」と現場におろすのではなく、現場の人間と一緒にプロジェクトチームをつくり、ロードマップを描き、どうやって変革を進めていくかを議論し、決定するというプロセスを踏むことが必要です。
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