自分を奮い立たせてきたものは

受講者:佐久間さんのように、日本を代表する大企業の役員になる可能性は、確率で言うとかなり低いと思われます。何万人に1人くらいではないかと思いますが、ご自身の社会人経験を振り返って、経営者になるに至った理由は何だと思いますか。また、ご自分を奮い立たせてきたものは、いったい何でしょうか 。

佐久間:巡り合わせ、仕事に恵まれたというのが大きいかと思います。たまたまタイミングが合って、会社にとって重要な仕事に関わることができ、同時に、理解のある上司と優秀な部下に巡り会えたからでしょう。ただ、そういう重要な仕事の中には、自分から仕掛けたものもあります。

 自ら仕掛けたケースの一つが、さきほどお話しした韓国ポスコとの間の電磁鋼板訴訟です。この訴訟を開始するにあたっては、社内でもいろいろと議論がありました。

 実際、同種の事案でも、訴訟ではなく、話し合いで決着したケースもあります。けれども、ポスコのケースに関して、私は絶対に訴訟で行くべきだと思いました。「More is Less」という自分がつくったフレーズを紹介しましたが、「物事を進める時は大きくした方がうまくいく」ことがあるというのが、私の基本的な考え方です。ポスコ訴訟は、大仕掛で臨みました。そうすることで、社内の力を結集でき、相応の成果を導き出せたのではないかと思います。

 私自身を奮い立たせてきたものというのは、一言で言うと「興味」でしょうね。面白いと思えるか、どうか。振り返れば、労苦を楽しんできたということだと思います。

 私がこれまで経験した仕事の多くは、結果がはっきりと出るものでした。「勝つか、負けるか」が明確なので、目標達成に向けて集中しやすく、モチベーションも高めやすかったのかもしれません。その中で、自分からやりたいことを仕掛けていったものもある、というところです。

 ただし、当然ですが組織での仕事というのは、自分の関心のあるものや、大きいものばかりやっていてもダメです。私が長く経験してきた総務の仕事であれば、正直、後ろ向きのことも、ゴシップ的な事案やちょっと信じられないようなことへの対応も、いっぱいやってきました。そういうことにも懸命に取組み、今に至ったと思っています。(了)

私自身を奮い立たせてきたものというのは、一言で言うと「興味」でしょうね。面白いと思えるか、どうか。振り返れば、労苦を楽しんできたということだと思います。
私自身を奮い立たせてきたものというのは、一言で言うと「興味」でしょうね。面白いと思えるか、どうか。振り返れば、労苦を楽しんできたということだと思います。