女性の活躍について

受講者:鉄鋼メーカーというと、今も「男の会社」というイメージがあります。政府は女性の活躍を求めていますが、総務担当の役員として、どのように感じていらっしゃいますか。

佐久間:我々も女性社員の比率を高めたいと思っています。しかし、現状はまだ低い。ここ数年の採用でいうと、女性の割合は技術系で15%、事務系で30%。全体で20%程度です。ストックで見れば、女性の管理職はまだ1%ほど。女性の部長は数人です。

 もっとも、鉄鋼メーカーである以上、当社は工学系出身社員が主力になります。けれども、大学の工学部における女子生徒の割合はまだ20%に届いていません。それを上回るというのは実際のところ簡単ではないですね。現状で技術系の女性社員の採用割合が15%というのは、健闘している方ではないかと思います。

人材のトレーニングについて

受講者:かつて「鉄は国家なり」という言葉がありました。国力の象徴でもあった鉄鋼業においては、人材育成が非常に重要な課題だったのではと思います。新日鉄住金のような歴史ある企業では、独特な理念や方法があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

佐久間:人材育成のキーワードは「自主自律」。これに尽きます。自ら考え、自ら行動する人材をどうやって育てるか。留学とか研修とか、育成の制度はいろいろありますが、基本は「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」です。

 自分自身、入社直後に配属された君津製鉄所での4年弱は、今思えばトレーニングの日々でした。例えば、ある時、現場から「軽自動車が1台あると、仕事がかなり効率化できるから、購入してほしい」という要望が来ました。何しろ君津製鉄所の敷地は千代田区ぐらいはありますから、移動は大変なのです。

 要望を受けて、いろいろと調査・検討して、確かに効率化できて十分元が取れると判断し上申したところ、上司から却下されました。上司は、「構内を走るバスの運行ルートや時間帯を変えることを検討したのか」というのです。私は考えてもいませんでした。慌ててダイヤグラムを取りよせ、バスの台数を増やさずに、効率良く走らせることができるかどうかを検討しました。

 実は、これは完全にトレーニングなんです。上司もバスの運行の調整で、なんとかなるなどとは思っていない。「とにかく物事は徹底して検討しろ」ということを、教え込まれたわけです。こういうトレーニングを受けられたのは、まだ余裕のある時代だったから。最近はなかなかできません。それは悩みの種です。

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