世界の鉄鋼生産の半分を中国が牛耳る

 こうして日本でつくった鉄はいまだに外貨の稼ぎ頭になっています。ご存じの通り、今の世の中、日本でつくり、海外に持って行ってもなお競争力があるものというのは多くはない。ところが、鉄は日本でつくってもまだ競争力があります。

 理由は簡単です。技術の優位性は別として、原料は海外で調達しますから日本で製品をつくろうと海外でつくろうとコストにあまり差はありません。また、鉄鋼業では、全体のコストの中に占める人件費の比率が低い。日本の人件費の高さがネックにならないのです。そして製鉄所の設備投資は巨額ですから、既に出来上がっていて設備の減価償却が進んでいる方がコスト面で有利です。

 ただ、ビジネスとして見ると厳しいのも確かです。設備は大がかりですが、それに比べて儲けは小さい。バブル景気の時ですら鉄鋼メーカーはあまり儲かっていませんでした。

 新日鉄住金の時価総額は2兆円強。PBR(株価純資産倍率)は1を切っていますから、理屈の上から言えば、会社を解散した方が価値があると市場はとらえているということです。

 世界の鉄鋼業についても現状を見ておきましょう。粗鋼生産量でトップを走るのはアルセロール・ミタル(本社・ルクセンブルク)。新日鉄住金はそれに続く規模。しかし、2000年代以降、中国の鉄鋼メーカーが信じられないようなペースで鉄をつくり始め、今では中国のメーカーが数多く生産量ランキング上位に入っています。現在は、世界の粗鋼生産量約16億トンのうち半分を、中国の鉄鋼メーカーがつくっているという状況です。