地球の約35%を占める鉄、その特徴は

 ここからは、新日鉄住金が手掛ける「鉄づくり」について簡単に説明させていただきます。まずは非常に身近でありながら、あまり知られていない鉄の5つの特徴を理解していただきたいと思います。

 第1に「地球は鉄の惑星である」ということです。重量で示すと鉄は地球の約35%を占め、すべての元素の中でトップです。

 第2の特徴として、鉄は変幻自在。普通、物資は固体から液体、液体から気体と変わる時に結晶構造が変化します。ところが鉄は固体の状態でも、温度が変わるだけで結晶構造が変わります。こういう性質を持つのは鉄しかありません。

 第3に鉄は磁石につきます。常温で強磁性を持つのは、鉄とニッケルとコバルトだけ。ただしニッケル、コバルトは存在する量が非常に少ないため、高価。例えば変圧器とかモーターなどで磁性のある材料を使おうとしたら、現実的な選択肢は鉄しかありません。

世界がどう変わろうとも、鉄ビジネスは不滅

 第4に切断や溶接が容易。実は金属の中でガス切断ができるのは鉄だけです。鉄は酸化すると融点が低くなる性質を持っていますが、ほかの金属は酸化すると融点が高くなります。例えば、車が事故に遭って閉じ込められたとして、それがアルミの車だったら、外からガスバーナーを当てるとどんどん固くなって切れなくなります。一方、鉄板の車なら容易に切ることができます。

 第5に鉄は他の元素と結び付く優れた親和性を持っています。鉄にちょっと他の金属を混ぜれば、いろいろなものができるということでもあります。有機物とも結び付きやすい。鉄とタンパク質が結び付いたのがヘモグロビン。我々哺乳類は、酸素のキャリアとして鉄を選んだ。だから、酸化鉄で血は赤い。皆さんが好物かもしれない、カニ、エビ、イカ、タコは銅を選んだ。結果、彼らの体液は青い、 緑青色。

 以上のことから分かるのは、鉄は地球に豊富に存在し、かつ非常に優れた特性を持つ金属だということです。鉄を活かすことは、地球上に存在する人類にとってみれば必然です。今後、世界がどう変わろうとも、鉄ビジネスは不滅であると思います。ただし、そのような鉄ビジネスをだれが担って行くかは、別問題です。

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