「社内のシステムが、いわゆる“スパゲティー状態”になってしまうと、テストをするにも膨大な時間がかかってしまい非効率です」
「社内のシステムが、いわゆる“スパゲティー状態”になってしまうと、テストをするにも膨大な時間がかかってしまい非効率です」

“IBM流”の良さを、お客さまに理解していただく

受講者:IBMは近年、「真の“グローバル統合企業”(グローバル・インテグレーテッド・エンタープライズ:GIE)」という言葉を盛んに使っています。しかし、さきほどのお話にもあったように、日本市場は企業内のシステム構築のバックグラウンドも異なり、世界標準の形になりにくい面があると思います。GIE戦略は日本市場にはマッチしていない部分もあるのではないかと推察していますが、経営者として、その点をどう感じているかをお伺いしたいと思います。

下野:IBMは事業や地域を横断して経営資源を一元化し、真に統合されたグローバル企業(GIE)になると宣言しています。世界中に展開する活動拠点を統合・最適化し、迅速な意思決定、事業展開をしていこうというものです。この観点では、英語力や時差という日本人の抱えるハードルは結構高いです。ただ、今の新入社員の英語力は随分上がってきましたし、ITの活用で距離や時差の問題も部分的かもしれませんが解決策があります。

 また、IBMではM&A(企業買収)をした後も、PMI、ポスト・マージャー・インテグレーション(M&A後に統合効果を最大化し、企業価値を向上させるための統合プロセス)では、1年ぐらいの短期間でお客様との契約書の書式から経理処理の勘定科目まで統一していきます。ものすごいスピード感です。そういうスピード感から、その会社のお客様や社員に反発を買うこともあります。

 当然、それとは別のやり方もあります。例えば、NTTデータさんはグローバル売上高比率を50%に高めると宣言していらっしゃいましたので、海外でのM&Aは重要な戦略でしょうが、おそらく時間をかけて緩やかに統合されていくのではないかと予想しています。製品やサービスの統合や重複機能の削減などによるフィナンシャルリターンは直ぐには出ないかもしれないけれど、社員やお客様にとっては自然です。どちらが良いとか悪いではなく、考え方の違いですね。

 日本IBMの施策の中には、日本の商習慣にフィットしないものもあるかもしれません。それがマイナスになることもあるでしょうが、我々の良さは我々が率先してグローバルに対応することで、グローバル化される日本のお客様にとってきっとプラスになることも多いと考えています。たとえ国内でしか事業展開されていない会社でもこれはお役に立つと思っています。

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