「プラットフォーマー」が持つ膨大な情報

受講者:「プラットフォーマーは国家のように振る舞う」という言葉を紹介していらっしゃいましたが、本当にその通りだと印象に残りました。アマゾンなどはまさにプラットフォーマーだと思います。既存の産業からすると大変な脅威でもあるわけですが、IBMからはアマゾンはどのような存在なのでしょうか。

下野:アマゾンは「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」というクラウドサービスを提供し、クラウド業界のリーダーです。さらにマイクロソフト、グーグルなどとも、IBMはこれからしのぎを削り合うことになるでしょう。

 ただ、私個人がアマゾンという会社全体をどう見ているかと聞かれたら、ジェフ・ベゾスCEOの著書も読みましたが、EC(電子商取引)やクラウドを超えたとてつもなく野心的な会社に思えます。4、5年前まで、ほとんどの人はアマゾンというのは本やCDの通販の会社だと思っていたはずです。けれどベゾスの狙いは全く違う。インターネットという今まで人類が手にしたことのない技術で、世の中を変えようと本気で思っている。その野心に取りつかれている、とてつもない人物だと思います。

 巨大な商流をECで確立して、競争力のある値段で商品を提供し、どんどんその領域を拡大しつつあります。時価総額は50兆円を超え(約5326億ドル)、IBMとシスコとオラクルを足した位の時価総額になっています。

 法人や個人事業主向けの「アマゾンビジネス」を始め、今では、野菜、魚、肉など生鮮品を届ける「アマゾンフレッシュ」も手掛けています。AI(人工知能)を搭載したスピーカーの「アマゾンエコー」をいち早く出したのもアマゾン。今後はアパレルのブランドを作るという噂も聞きました。今後も、ベゾスのあのカリスマ性で強力に引っ張っていくとすれば、社会の中にある“不合理な仕組み”をいたるところで最適化して社会システム全体を大きく変えていくんじゃないかと思いますね。

 こういうプラットフォーマーが持っている個人情報が、万一、何らかの事情で悪用されたり漏れたりした時には、社会に及ぼす影響は甚大です。だからこそ、情報セキュリティー事故については本当に恐ろしいと感じますね。