空間感染を予防し人類に貢献したい

 これまでお話ししてきたように、我々はEvidence Based Marketingを実践するために、たくさんの論文を発表してきました。正露丸でもクレベリンでも安全性や有効性を実証しました。今では世界で二酸化塩素製品と言えば、大幸薬品が断然トップの存在となっています。しかし、残念ながらこれまではそれをお客様に伝えきれていませんでした。

 そこで私は、外資系企業で最高マーケティング責任者(CMO)を務めていた長田賢俊さんをヘッドハンティングし、大幸薬品のCMOに就任してもらいました。世界的デザイナーの佐藤オオキ氏率いるnendoをはじめ、広告代理店、クリエイティブハウスなどと複数年の包括的パートナー契約を結び、これからマーケティング・ブランディング戦略を刷新していきます。

 パッケージを全面的に変更します。今日、皆さんにお話ししたストーリーを5秒、10秒で消費者にもエモーショナルに訴えていきます。左脳と右脳に響く統合施策を展開していきます。例えば、正露丸に関しては、主成分の木クレオソートがヒトの腸内細菌に対して作用しないことを臨床実験で実証したことから「全下痢対応」といったシンプルなキャッチコピーを展開していきます。

 2017年、出張ついでに私が米FDA(食品医薬品局)に対して、サプリメントとして木クレオソートに「運動時および発汗時に体内の水分吸収を促進し、脱水を防止する」機能があることを届け出たところ、受理されました。そこで早速、ホノルルマラソンの参加ランナーに向けて、サンプリングを行いました。来年以降、全米で正露丸をスポーツサプリメントとして大々的に売り出そうと戦略を考えているところです。

 大阪大学大学院医学系研究科とは共同研究開発に取り組みます。「空間環境感染制御学共同研究講座」を設置。クレベリン除菌システムを利用してiPS細胞を培養することでコストを大幅に低減する実験を開始します。

 経営者として重要なのは先を読むことであり、アクションを起こすことだと思います。昔、ミネラルウォーターを飲む人は誰もいませんでした。しかし、今では誰もが普通に飲むようになっています。空気も同じです。安全を担保された空気を吸う時代が必ず来ると確信しています。そういう未来をゴールに、今いろいろとデータを取っています。

 1860年代、イギリスの外科医ジョセフ・リスターは、石炭酸で物体を消毒する防腐法を発見し医療を飛躍的に進歩させ、人類に貢献しました。二酸化塩素を利用して空間感染を予防する方法を確立することができたならば、これもまた人類への大いなる貢献となるでしょう。外科医から経営者への転身が本当に悔いないものとなるよう、私自身もまだまだチャレンジし続けなくてはならないという気持ちです。