「下着のゴムと一緒で、組織も人もストレッチしすぎるとゴムは伸び切って、最後には切れてしまいます」
「下着のゴムと一緒で、組織も人もストレッチしすぎるとゴムは伸び切って、最後には切れてしまいます」

受講者:大きい組織は非常に意思決定が遅い。スピードがない。そのことを業務上痛感しています。
 なぜ組織が大きくなると意思決定が遅くなるのか、スピードがなくなるのか。その辺りの意見を聞かせてください。

斎藤:これについては私もどなたか、ほかの受講者の方の意見を聞きたいですね。一般論として大きい組織は意思決定が遅いといわれますが、100%そうかというとそんなことはないかもしれません。どなたか、ご経験談やご自身のお考えなどありませんか。

受講者:大きい組織ほど、意思決定に個人が責任を持つことを嫌う傾向があるように思います。私は九州でスーパーの経営に携わっています。かつて、この会社では意思決定をしようとすると部長、役員に稟議書が回り、印鑑をいっぱい押さなくてはならず、まるでお役所のようでした。今、私はそういうことをしないように指導しています。
 かつては何につけても必要となるペーパー(書類)が非常に多かった。1つの案件について、何枚もペーパーを作成していました。それも今は1枚に絞るように指示しています。ペーパーは「読むものではなく見るものだ」と伝えています。

斎藤:意思決定のあり方を変えようとする時、稟議書を減らすとか、ペーパーを1枚に絞るとか、形や型を変えることは大事だと思いますか?

受講者:はい、私はそう思っています。今は余計な会議もしないように徹底しています。会議をするとしたら時間を「何時まで」と事前にはっきり決めた上で案件を議論し、意思決定するようにしています。

斎藤:あなたはおそらく、会社では社員の方々にとって怖い存在なのでしょうね。

受講者:はい、そう言われます。ふだんはフレンドリーですけど(笑)。何か問題がある時には個室に呼び出します。そういう時は怖いと言われています。

怖い上司がいるというのはすごく大事

斎藤:なるほど。私も、意思決定のあり方を変えるためには形、型から入るのが大事だと思います。レイヤーを減らすとか会議を減らすといったことですね。ただどんな組織も、一度何かを変えたとしても、どうしてもそこにはまたヘドロがたまっていきます。1年、2年、3年と放置するとコチコチになってしまいます。大きな組織の変革が難しいのは、そのコチコチになって固まった度合いが非常に高いためです。蓄積してしまって、定期的に何かをしないとどうにもならない。

 もう1つ、大きい組織はどうしても“フリーライダー”が増えますね。「何もしない人」です。そういうフリーライダーの対処としては、怖い上司がいるというのはすごく大事なことだと思います。今、発言いただいた受講者さんのように「これをやったら個室に呼び出されるぞ」というような存在ですね。そういう思いを抱かせることで自立させられるというところもありますから。

怖い上司がいるというのはすごく大事なこと。(写真:PIXTA)
怖い上司がいるというのはすごく大事なこと。(写真:PIXTA)

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