1兆円を研究開発に投入、イノベーションを創出し続ける

 社員や地域社会に対しても、いろいろな取り組みを続けています。おかげさまで日本経済新聞社が調査した「人を活かす会社」や、日経新聞と日経BP社の女性誌「日経ウーマン」が調査した「女性が活躍する会社」で第1位になったり、Great Place to Work Instituteが実施した「働きがいのある会社」ランキングの上位にランクインしたりと、いろいろな形で評価をいただいています。

 私は社長と兼任でジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献委員会委員長も務めています。先週も福島県浪江町へ行ってボランティアをしてきました。身体障害を持つ人々とテニスを楽しむ活動にも参加しています。

 地域社会に対する責任で一番大事なのは社員の参画です。我が信条はジョンソン・エンド・ジョンソンで働く一人ひとりが体現しなければいけないもの。「一人ひとりがきちんと地域社会に対して貢献をしているか」「できることを、できる時に、できる人がやれているか」を確認しています。

 毎年、6月と7月は「ボランティア月間」と銘打ち、会社として社員が参加するプログラムを用意しています。グループ会社全体で社員5000人強のうち、毎年、1500人ほどは何らかのプログラムに参加をしています。

 そのほか、「キッザニア東京」に病院パビリオンを出展し、命にかかわる医療という仕事の重要性を伝えたり、日本看護協会とともに、より健全な社会づくりを目指す「ヘルシー・ソサエティ賞」を主催したりもしています。米日カウンシル-ジャパンが運営する「TOMODACHIイニシアチブ」とのパートナーシップでは、東日本大震災の被災地域に住む看護学生を米国に派遣し、災害看護を学んでもらうプログラムを実施しています。

株主への利益還元率は70%

 このようにクレドーにのっとった経営をしてきた結果、ジョンソン・エンド・ジョンソンは34年連続で営業利益を伸ばし、56年間連続で配当を増やしています。この10年間、株主への利益還元率は70%に達しています。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンの売上高の70%は、そのカテゴリーにおけるシェア1位か2位を占める製品です。ポートフォリオを見極め、入れ替えをしてきたからこそ可能な数字です。社内には売り上げ1000億円以上のブランドが24あります。そして、非常に重要なことですが、売上高の25%は直近5年間に発売した新製品によるものです。新製品をどんどん出し、イノベーションを評価してもらうことで、売り上げが伸びているわけです。

 またジョンソン・エンド・ジョンソンは毎年、売り上げの11%ほど、約1兆円を研究開発に投じています。売り上げから得たリターンを次のイノベーション創出のために投資する。まだ満たされていない医療ニーズに対応すべく新しい製品を開発しようと動いています。

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