非常時のお金の調達の方法が異なる

受講者S:端的に言って、非常時のお金の調達の方法が、企業と学校では違うと思いました。企業であれば、リスクが顕在化した時に頼る存在は主として銀行ということになります。一方、学校は国、県などの支援や補助金を受けられる。それは大きな違いだと思います。

 企業と学校とで、同じだと感じたのは、震災のような深刻な問題が発生した時、トップの持つ力量の差で、結果の明暗がはっきり分かれるということです。新校舎の建設といえば通常ならば何年も計画を立てて実現していくものなのに、たったの2年で完成させた。加藤理事長はその間に4回も手術なさったということでしたが、これは並大抵のことではありません。私も今の年齢になるまでに相当、修羅場をくぐってきたと思っていましたが、まだまだ甘いと思い知りました。

生徒たちを「日本の宝」になるよう育てる

加藤:補助金の話が出ましたけれど、東日本大震災に遭って仙台育英学園に出た補助金は、実は私立学校に対する公的な補助としては第1号です。補助金の制度を使いたかったのに、いろいろな事情で使えなかった学校法人は山ほどあり、そういう中で我々はお金を補助していただきましたから、本当に頑張らないといけません。

 最初にお話しした通り、仙台育英学園の創業者の加藤利吉は会津若松市の出身です。当時の仙台は城下町で、やや排他的な、よそ者を嫌うところがありました。私は仙台に生まれ育ちましたが、やはりどこか「自分はよそ者」という気持ちがあります。だからこそ、「ここで頑張って、仙台の人に信頼され、認めてもらいたい」と意識しながら生きています。

 学校経営の中で一番大切なことは、トップがどれだけ社会から信用されるか、期待されるかだと思います。私自身、一番それを意識しているし、そのために努力しているつもりです。

 先ほど生徒がカスタマーなのかどうか、というお話も出ていましたが、お金を出しているのは保護者の方々ですから、正確にはカスタマーは保護者の方々です。私たちも保護者の方々とは、消費者という目線でもお付き合いをしています。しかし生徒は自分ではお金を払っていません。ですから私たちもカスタマーとか消費者という目では見ていません。長期的に日本の宝になるように育てるべき存在、という意識を持って接しています。

 引き続きこの地、宮城で日本の宝を育て、この地域で、社会で、信頼を得る存在になりたい。東日本大震災は、それを改めて強く感じる機会にもなりました。(了)

「地域で、社会で、信頼を得る存在になりたい。東日本大震災は、それを改めて強く感じる機会になった」