時がたつにつれ、社会のためという意識で判断するように

受講者J:僕は大学付属病院で働いています。震災の時には、後から振り返った時に、「ポジティブな体験」にできるようにしようということを話し合いました。東北の被災地に行って、何か役に立つことをしようと、チームをつくって震災発生から10日目には現地に派遣しました。

 今、考えてもそれはすごく良かったと思います。1カ月後には米国から「ビジョンバン(眼科医療支援車両)」を輸入。3カ月間、現地でお役に立つことができました。その活動をしたことは今でも誇りに思っていますし、それを一緒にやってくれたメンバーに感謝しています。

受講者K:当時私は大手ファッションチェーンで働いていました。震災後の対応は、経営会議のメンバーが集まって決定していましたが、各店舗でも独自にその時々で何をすべきかを考えていました。

 震災直後はお客様の安全を守ることを考えましたし、少し時間がたった後は、何か地域に対してできることがないかを考えました。被災して着るものがなく困っている方たちに、洋服を提供しようということも決めて実行しました。時間とともに、自社のことばかりでなく、地域のため、社会のためということも要素に入れながら判断していました。自分たちで考え、行動するということが重要だと思います。

どのようにリスクを評価するか

受講者L:私が勤めていた会社の社長はスイス人でした。彼は英BBCや米CNNで流される福島の惨憺たる状況を見聞きして、ビクビクしていました。スイスに帰りたくて帰りたくてたまらない様子でした。

 そんな中、会社のメンバーは「とにかく落ち着こう」と言い合っていました。「日本はこういう非常事態でも、強奪が起きるような国ではないから安心してもらおう」と。メンバーの決断と協力が、危機的な状況の中で非常に役立ったと考えております。

加藤:会社の皆さんに勇気があったんですね。素晴らしいです。

 次の質問です。「リスク評価のために、あなたはどのようなツールを活用しますか」。これは質問というより、むしろ逆に私が教えていただきたいところなのですが。いかがでしょう。

「非常時、あなたが組織のトップだったなら、あなたは組織メンバーに何を期待しますか」

受講者M:私が勤めているのは外資系企業で、グローバル規模のリスクマネジメントのプログラムを持っています。ツールというよりは会社が独自に考えたプロトコル(実施要綱)で、インシデント(事故になりそうな事件や要素)が発生する前はリスクマネジメント、発生した後はインシデントマネジメントと分けて管理しています。

 日本の場合、200項目以上のリスクを評価し、それに優先順位を定めています。リスクが現実化した時、リカバーするか、そして何日以内にいくらかけてリカバーするかということを各部門が毎年見直しする形になっています。