問題の本質は好き嫌いではなく、フェアかアンフェアか

「『だまってオレについてこい』とか『オレの背中を見て育て』というやり方は、ふつうは通用しません」
「『だまってオレについてこい』とか『オレの背中を見て育て』というやり方は、ふつうは通用しません」

 第3は人間の心理をよく学び科学的な根拠のある合理的なマネジメントをすること。「だまってオレについてこい」とか「オレの背中を見て育て」というやり方は、価値観や美学を同じくする人には有効かもしれませんが、ふつうは通用しません。科学的な根拠のあるマネジメントをいくつか紹介していきましょう。

 ビジネス書にはよく「リーダーは好き嫌いを見せてはいけない」などといったことが書いてあります。本当にそうでしょうか。ここにいる皆さんで、「上司の好き嫌いが分かる」という人はどれぐらいいますか? たくさん手が挙がりましたね。そう、人間は感情の動物ですから、上司の好き嫌いはよく見えるのです。では、それは本当に良くないことなのでしょうか。

 米国の研究では、好き嫌いが見えるリーダーに対して、部下が特に不満を持つことはないという結果が出ています。不満を持ち、文句が出るのは「リーダーはあの人のことが好きだから1時間も面談をやったのに、私のことは好きでないから30分で切り上げられてしまった」といったケース。このようにアンフェアに扱われると部下は怒り、不愉快だと感じるのです。つまり、問題の本質は好き嫌いではなく、フェアかアンフェアかということなのです。

 マネジメントにおいて、コミュニケーションの大切さを示す調査結果はたくさんあります。その1つが、「上司が部下の不満を1時間以上よく聞いた場合、原因が全く除去されていないにもかかわらず、部下の不満の6、7割は消えてしまう」というもの。人間はいかにコミュニケーションが重要な動物であるかがわかります。

うまくいっている組織では、「6回褒めてから1回叱る」

 部下に対しては、「叱る」と「褒める」をバランス良く織り交ぜることも必要です。ある調査によると、うまくいっている組織では、リーダーは6回褒めて1回叱るというバランスになっているそうです。最低でも3回褒めて1回叱る。これ以上叱ると、完全に部下のモチベーションは下がってしまうそうです。「ロサダの法則」と言われています。

 もしかすると、「そんなに褒めるネタがない」と思う人がいるかもしれません。そういう場合は、必ずしも言葉を尽くして称えなくてもかまいません。廊下で会って目が合った時、ニッコリ笑えば1回褒めたことと同じ意味があるのです。黙礼する部下にニッコリ笑いかけるのは「キミのことはちゃんと知っているよ」「いつも働いてくれてごくろうさん」という意味を持つからです。

 人間は感情の動物です。心理学などをベースに、できるだけ科学的なマネジメントをやるよう心がけるのがいいと思います。やってはいけないのは自分の成功体験を押しつけること。成功体験というのは自分と同じ価値観、美学を持っている人にしか通用しません。根拠なき精神論ではまともなマネジメントはできないと心がけるべきです。

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