リーダーとして上に立つには、この3つの条件があれば十分です。やりたいことが明確であれば旗を挙げることができます。共感力が備わっていれば仲間を集めることができます。コミュニケーション力があればみんなを最後まで引っ張っていくことができます。

 「判断力はいらないのか」「人間力が必要でしょう」「分析力も大事では」などと言い出せばキリがありません。3つで十分。ウソだと思うなら、ちょっと歴代の総理大臣を思い浮かべてみてください。総理大臣でもこの3つの条件を備えている人はあまりいないことがわかります。一国のリーダーでもそうなのだから、ふつうの職場ならなおさらそうです。

 さらにいえば、この3つの条件をリーダー個人がすべて持つ必要はありません。チーム全体で機能を果たすことができればいいのです。リーダーに絶対必要なのは第1の条件である「やりたいことが明確」であること。共感力やコミュニケーション力はチーム内の他のメンバーに任せてもかまいません。

金曜の夜、社員が憂鬱になる職場

 リーダーの条件の次は、人を使うことについて。どうすれば人をうまく率いることができるでしょうか。これも3つあります。

 第1は楽しい職場にすること。熊本県八代市にある会社に頼まれ、講演に行ったことがあります。金曜日の夜の講演でしたので、その後、社員の皆さんと一緒に飲みに行きました。その時、若い社員が異口同音にこう言い出したのです。「出口さん、僕ら、金曜日のこの時間になると気が滅入ってくるんです」

 翌日は土曜日で仕事は休みです。僕は不思議に思いました。「明日の明後日も休みだからデートもできるし、ドライブにも行ける。楽しいじゃないですか」。すると彼らはこう返したのです。「この会社は八代で“人間動物園”と言われています。みんな面白い人ばかり。金曜の夜になると、『こんな面白い仲間と2日間も別れなくてはいけないのか』とがっくりきます。日曜日に大河ドラマが始まる頃になると、『あと1晩寝ればみんなに会える』と思って元気になるのです」。

 こんな楽しい職場なら、誰もが喜んで働くでしょう。リーダーがうまく人を率いるには、こういう楽しい職場環境づくりが何よりも必要です。

 第2は適材適所を徹底すること。野球のピンチヒッターが一番わかりやすいでしょう。「コイツは勝負強い」「集中力が高い」と知る指揮官が、その選手をピンチヒッターに使って勝負を賭ける。選手の方も大事な場面で使ってもらえることを意気に感じ、「よっしゃ」とバットを一振りして試合を決する。これが理想の適材適所のあり方です。リーダーは一人ひとりの得意なこと、やりたいことを理解し、信頼して任せる。そうすれば部下は目一杯の力を発揮し、それに応えようとするものです。

 逆に不得手なことをやらされるのは苦行でしかありません。部下を上手に率いたいと思うのなら、急がば回れでじっくり面談をして「何がしたいのか」「何が得意だと思っているのか」をよく知ることが大切です。このプロセスがなければ、人を上手に使うことはできません。

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