(前回から読む)
経営者討論科目の授業に登壇したライフネット生命保険会長の出口治明氏は組織の上に立つリーダーのあるべき姿について語った。リーダーに必要な条件、人をうまく率いるコツ、リーダーが持つべき心がけを、それぞれ3つの要素にまとめて語った。

ライフネット生命保険代表取締役会長
1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年にネットライフ企画設立、代表取締役社長に就任。2008年にライフネット生命保険に社名を変更、生命保険業免許を取得。2016年6月より現職。 主な著書に『生命保険入門 新版』『直球勝負の会社』『生命保険とのつき合い方』『日本の未来を考えよう』『働く君に伝えたい「お金」の教養』『「全世界史」講義Ⅰ』『「全世界史」講義Ⅱ』『「働き方」の教科書』など。
(写真=陶山 勉、以下同)
リーダーに必要な3つの条件とは
ここからはリーダーシップについてお話しします。リーダーに必要な条件は何か。3つあります。
第1は「やりたいことがはっきりしていること」。これに尽きます。「志」と呼んでもいいでしょう。絶対にやり遂げたいという「強い思い」を持っていることが必要です。
リーダーはわかりやすく言えばサル山のボスザルです。エサがなくなった時に北へ行くのか南へ行くのか。方向を示さなくてはなりません。やりたいことを明確にして旗を上げるというのが一番大事なリーダーの条件です。
第2の条件は「共感力」。成し遂げたいことがあったとしても、リーダー1人では何もできません。仲間の力を結集し仕事を任せなくてはなりません。それには、「なぜそれをやりたいと思うのか」という自分の考えを説明し、仲間に共感してもらう力が必要です。仲間に「この大将について行こう」と思ってもらう力が求められます。共感力があれば、旅の仲間を集めることができます。
第3の条件は「コミュニケーション力」。いざ旅を始めたら、晴れの日ばかりではありません。どしゃ降りの日もある。どしゃ降りになれば、旅を続けるのがいやな人も出てきます。そんな時、弱っている人を早く見つけて「大丈夫か?」「もう少しだから頑張ろう」とコミュニケーションを取りながら目的地まで引っ張っていく。落伍者を出さないよう導くのがリーダーの役割です。統率力と言い換えてもいいかもしれません。
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