特に貧しいのは20代

 さて、このように考えている僕はいったいライフネット生命保険でどんなビジネスをしているのか。ここで簡単に紹介しておきましょう。

 先ほど、日本は以前よりも貧しくなっていると説明しましたが、特に貧しいのは20代。ニートやパートなど非正規雇用が増えているからです。婚姻の形態がガラパゴス的にゆがんでいる日本で20代が貧しければ、自ずと晩婚化し、少子化がさらに進行していきます。

 僕はこんな社会を変えたいと思いました。長年、生命保険会社にいた僕にできることは、保険料を半分にして安心して赤ちゃんが生める社会を創ることだと考え、60歳でインターネットを主な販売チャネルとする、全く新しいタイプの生命保険会社、ライフネット生命を開業しました。因みに、当社は戦後初めての独立系の生命保険会社です。

信用・信頼を売るために実践していること

 インターネットを中心に販売するライフネット生命の保険料は、同じ保障内容でも大手生保の半分ほどのケースもあります。といっても、ただ安い保険を売っているばかりではありません。これまでの生命保険は、大事な家族のために購入するものでした。けれども今の日本では一人暮らしが一番多い。家族のいない一人暮らしの人にとって一番しんどいのは死ぬことではなく、難病、事故などで働けなくなることです。そこで長期間の療養・休業でも完治するまで月に10万円などのお金が出続ける「就業不能保険」を販売しています。

 ライフネット生命には明確な経営課題があります。生命保険は息の長いビジネス。短い死亡保険でも最低10年、医療保険であれば終身です。1年で更新する自動車保険や1クリックで取引が終了する銀行、証券のネットビジネスとは根本的に異なり、会社への「信頼」や「信用」がなければ成り立ちません。テレビコマーシャルでライフネット生命という会社の名前を売ることはできますが、信頼や信用を売ることはできません。

 ではどうすればいいのか。トップである僕が率先してライフネット生命はこんな会社ですと発信し続けるしか方法はありません。日本生命にいた時の僕は講演をしたこともなければ本やブログを書いたこともありませんが、今はなんでもやります。10人以上集まるところならばどこへでも行って話をしますし、会社概要を書いたはがき大の名刺を持ち歩き、「同僚の机の上に置いてください」と言って1人に10枚ぐらい渡しています。ツイッター、フェイスブック、ブログも活用しています。

 こうやって少しでもライフネット生命のことを知ってもらおうと地道に活動をしています。