(前回から読む)
イノベーションの多くはどこにでもあるものの「組み合わせ」から生まれる。新たな組み合わせを思いつくには幅広い知恵、知識、知見が必要であり、ダイバーシティーを実現してこそ、組織に様々な情報が集まると説明した。

ライフネット生命保険代表取締役会長
1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年にネットライフ企画設立、代表取締役社長に就任。2008年にライフネット生命保険に社名を変更、生命保険業免許を取得。2016年6月より現職。 主な著書に『生命保険入門 新版』『直球勝負の会社』『生命保険とのつき合い方』『日本の未来を考えよう』『働く君に伝えたい「お金」の教養』『「全世界史」講義Ⅰ』『「全世界史」講義Ⅱ』『「働き方」の教科書』など。
(写真=陶山 勉、以下同)
日本は残念ながらかつてよりも貧しくなっている
世界を、現状を正しく認識するための方法について解説してきました。安倍政権が経済成長の推進力として掲げる「新3本の矢」には「名目GDP(国内総生産)600兆円達成」も挙げられています。次はこの目標をいかに達成するかを考えていきましょう。
日本は残念ながらかつてよりも貧しくなっています。20年前には世帯の平均所得は660万円ほどありましたが、今は530万円ほど。なぜ貧しくなったのかといえば、競争力が落ちているからです。
IMF(国際通貨基金)が発表している購買力平価ベースのGDP(国内総生産)を見ると、日本の経済規模は米国、中国、インドに次いで世界第4位です。このポジションをキープしようと思うのなら、競争力、イノベーションの力も第4位前後をキープしていく必要があります。
ところが、スイスの有力調査機関である国際経営開発研究所(IMD)の調査によれば、日本の国際競争力は2016年には世界で26位。これでは、どんどん貧しくなるばかりです。つまり、この国の課題は競争力を上げること。GDP600兆円という目標は、その延長線上でこそ、達成が可能です。
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