介護負担を減らす究極の策は「定年廃止」

 少子化とともに日本の大きな課題となっている高齢化についても考えてみましょう。

 高齢化で一番の問題となるのは要介護状態となったお年寄りの増大です。介護にかかわる人手不足、財政負担の増加などがわが国には重くのしかかっています。アベノミクス「新3本の矢」でも親などの介護のために離職せざるを得なくなる人をなくす「介護離職ゼロ」が掲げられています。

 要介護を定義すれば「平均寿命-健康寿命」ということになります。ここでいう健康寿命とは、最低限「ひとりでトイレに行ける」こと。寝たきりにはならないということです。

 介護問題を解決するには、この「平均寿命-健康寿命」の値を少しでも小さくしていくことが重要です。当然ながら、おじいさんやおばあさんに「はよ死んで」とは誰も言えませんから、介護をなくすには健康寿命を延ばすしかありません。

 では、どうすれば健康寿命を延ばすことができるのでしょうか。医者10人に聞いたところ答えはみんな一緒でした。「働くこと」です。

 仕事に行かなくてはならないから、朝起きた後に男性はひげをそり、女性は化粧をします。しっかり働けるように栄養のある食事を取ろうと心がけますし、働く場所に行くためには自然に足腰を使うので運動にもなります。心身の健康維持にはいいことづくめです。

 僕は今68歳ですが、何も予定のない日曜日に起きるのは10~11時。寝ることが大好きなものですから。そして1日中パジャマにガウン姿。こんな状態が毎日続けば、家族にもうとまれますし体にいいはずはないですね。

2つの方法を使って考えれば、問題解決のヒントが見つかる

 となれば、高齢化に対処するための政策は「定年廃止」しかありません。世界的に見て定年制があるのは日本だけです。アングロサクソンの社会では履歴書に年齢を書き込む欄があるだけで問題になります。働く意欲があるのか、職場に来る体力があるのか、読み書きそろばん、つまり仕事をするのに必要なスペックを備えているのか。こういった要素のみを見て採用の是非を判断するのが世界の常識です。

 これは首相が一言「定年制を止める」と言えば済む話です。そうすれば企業は年功序列型賃金を直ちに「同一労働同一賃金」に変えるでしょう。つまり政権が目指す働き方改革を実現することにもつながるのです。

 「高齢者がいつまでも仕事を続けていたら、若者の仕事がなくなってしまう」という人もいます。しかし、この国では団塊世代が消えることで2030年には800万人労働人口が不足すると言われています。不足分を補う上で、定年制の廃止は1つの有効な政策になるはずです。高齢者が働くようになれば、年金保険も医療保険も担い手が増え、社会保障制度も安定します。

 このように、タテ・ヨコ思考と、数字・ファクト・ロジックという、2つの方法を使って考えていけば、少子化や高齢化を解決するヒントはたくさん見つかるのです。

(次回に続く)