①「タテ」(昔の人)・「ヨコ」(世界の人)思考

 僕が考える方法論は2つあります。

 1つ目の方法はタテ・ヨコ思考です。

 人間の脳はドメスティケーション(農耕、牧畜などの開始)以来、1万3000年以上進化していないというのが通説です。つまり1万年前の人間も今の人間と同じように喜怒哀楽を感じ、同じように経営判断をしてきたということです。ならば、「昔の人はどう考えたか」が現状を見る時の1つの軸になります。これがタテです。ヨコは「世界の人がどう考えるか」です。タテ・ヨコの軸で見れば現実が非常に正確に見えてきます。

 1つ、例を挙げて説明してみましょう。

 日本では「夫婦別姓制度」がしばしば議論の的になります。「日本の伝統に合わない」「家族の絆を壊す」といった反対論が渦巻きますが、果たして、本当にそうでしょうか。

 タテから見ていきましょう。皆さんは小中学生の時、歴史の授業で源頼朝の奥さまの話を聞いたことがあるはずです。名前を覚えていますか? 北条政子ですね。源と北条。夫婦なのに姓が違います。ここから日本の伝統は、夫婦別姓を採用していたということがわかります。

 ではヨコはどうか。OECD(経済協力開発機構)34カ国の状況を見てみましょう。法律婚の条件として夫婦同姓を強制しているのは日本だけです。

 いかがでしょうか。タテ・ヨコ思考で見れば、夫婦別姓が日本の伝統に合わないとか、家族の絆を壊すという主張が事実とは異なることがわかります。根強く反対論を唱える人たちの背景には、イデオロギーや思い込みがあるということです。

②「数字・ファクト・ロジック」

 「世界」や「現状」をきちんと認識するための、2つ目の方法は、「数字・ファクト・ロジック」を使うことです。データの伴わない議論ほど時間の無駄はありません。

 例えば、僕はしばしば「日本は低学歴社会だ」と主張しています。そうすると「出口さん、何を言っているんですか。日本は少子化で学生数が減っているのに大学の定員は減っていなくて、希望すればどこかの大学には必ず入れる『大学全入時代』ですよ。」と反論する人がいます。

 この議論は1分もかからず正答が出ます。各国の大学進学率をググってみてください。日本は51~52%ですが、OECD平均は62~63%。先進国の中では日本が低学歴の国であることは歴然としています。

 数字・ファクト・ロジックに基づかない議論は意味がありません。どうか皆さんはこのように相互に検証可能なデータを抽出し、それを基に現状を分析する習慣をつけてください。

次ページ 少子化対策、フランスにできることが日本ではできない?