「転業」を支援したケース、本業は同業他社に売却

 建材卸売業を営むF社には民事再生を活用した転業を支援しました。

 建材は輸入品の普及や、取引先工場の海外移転などで受注が減少し、大幅な赤字となっていました。F社は本業の建材卸売業のほかに、売り上げは会社全体の5%に過ぎないものの不動産賃貸業も手掛けていて、こちらは黒字でした。そこで本業の建材卸売業を同業他社に事業譲渡し、不動産賃貸業に転換することとしました。迅速に本業を売却できたことで資金繰りが緩和され、民事再生手続を円滑に進めることができました。

【方向性】
<span class="font_bold_big">【方向性】</span>
本業の建材卸売業は同業他社に事業譲渡し、不動産賃貸業に転換することにした。
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 他行をメインバンクとする鋳物製造のG社に対しては、関連会社を活用した転業を支援しました。

 鋳物事業は市場の縮小が進み、縮小する過程で過当競争となって受注単価が下落し、G社も業績が悪化していました。G社は鋳物事業の閉鎖を決めていたのですが、閉鎖するには従業員の退職金が必要です。しかし、メインバンクからその資金を融資してもらうことができず、また、会社をただ閉じるだけでは債務が残ってしまうため、静岡銀行が支援することにしました。

 G社はプール、ジムなどのスポーツ施設を経営する関連会社を保有しており、その会社は比較的業績が堅調だったことから、我々は鋳物製造会社の社員の退職金として約6000万円を用意しました。G社は事前通知をした上で、事業終了のために一部の従業員に辞めてもらいました。工場などの不要となった資産を売却し、業績堅調な関連会社と合併して債務を返済していくスキームで転業を果たしました。

 このように事業承継支援にも転廃業支援にもいろいろな形があります。我々はその一つひとつに真摯に対応し、雇用、地域経済や、経営者の生活を守ろうと努力してきました。こういう地道な取り組みをしている金融機関もあるということを頭の片隅に入れておいていただければ幸いです。