国民の信頼を得れば、民間の立場からの変革は可能

受講者:岩崎社長のお話を聞いていて思ったのは、メディカル・データ・ビジョンの成功の背景には医療行政、医療制度の「ペインポイント」(悩みの種)を突いたことがあるということです。その業界を変えたいと考えた時には色々なやり方があります。岩崎社長は行政と組んで一緒に改革を進めていくということは考えなかったのでしょうか。

岩崎:私は行政と一緒に何かをやるという感覚は一番薄いタイプです。例えば医療行政を司る厚生労働省と一緒に組んで何かをやろうとしたら、現場の責任者である課長は2~3年で異動してしまいます。次の課長には取り組みが引き継がれないことも多い。こういうところと一緒にビジネスをやるのは、賢くないと思う。そっちには行きません。

 では、どうやって行政がやるべき仕組みを、民間の立場から変えていくのかというと、向き合うべきはやはり国民です。政治家や役人が一番こわいのは国民。国民に最高のサービスを提供し、信頼を得ることこそが最も重要で、それを成し遂げることが結果的に社会を変える近道ではないかと思っています。

国民に最高のサービスを提供し、信頼を得ることこそが最も重要で、それを成し遂げることが結果的に社会を変える近道ではないか。

権限移譲のために、「小さい会社をつくる」という方法もある

受講者:メディカル・データ・ビジョンと同時期に創業した、会社の役員を務めています。我々の会社も業界の常識を打ち破り急成長を遂げ、今は1000人ぐらいの会社になっています。ただ問題はすべての決裁が4人の役員によって行われていること。社員もそれに慣れているので、何でもかんでも経営者の判断を仰いできます。今後、組織の中で権限委譲を進め、決裁できる人材を増やすことが重要な課題だと考えています。岩崎社長はどのような手を打っていますか。

岩崎:一番簡単なのは役員を増やすことだと思います。といっても、4人の役員を8人に増やすということではなく、小さい会社を増やすことです。そこには必ず決裁者が出ます。社員を引き上げて小さい会社の社長をつくるという方向で権限委譲を進めたいと思っています。

 4人の圧倒的な役員がいると下は育ちません。「上に行きたい」と思っても、つかえていてなかなか行けない。未来が開かれないと社員の情熱も減ってしまいます。でも自分の発案で本社とは別の組織で社長まで到達できる道があるならば、意欲を持って仕事ができるはず。この可能性がすごく大事だと思っています。