「絶対大丈夫」と言い切ることが大事

受講者:事業がうまくいかず赤字が続いているような時期は、投資家もさることながら、社員のみなさんも「この会社はどうなるのだろう」と不安に思っていたのではないかと想像します。積極的について行こうという人ばかりではなかったかもしれません。経営者として、社員の方に向けてどんな話をしていたのか。どのように鼓舞したのか。聞かせてください。

岩崎:会社の規模が小さいと、「お金がない」ということも社員には自然と伝わります。当然、社員も不安になったことがあると思います。ここで求心力を維持するためには経営者が大きな目標を掲げることですね。

 「我々は医療データを集め新しいサービスを提供して世の中を変える」「新しいサービスを使う人たちはものすごく便利になって喜ぶ」。こういう将来像を示しました。

 もう1つは「絶対大丈夫」と言い切ることです。これが大事です。「マネジメントが下手だな」と思う人間は必ず後ろ向きのことを言っている。これがダメなのです。「何が起きていても大丈夫」「絶対解決できる」と言い続けること。そのうちに、みんなもだんだんその気になってくれます。うまくいっていない時こそ、自信を持って大きく前に進む。これに尽きると思います。

求心力を維持するためには、経営者が大きな目標を掲げることが必要。

お金がない時期が長かったため、株主への感謝は人一倍強い

受講者:メディカル・データ・ビジョンは上場しパブリックカンパニーになったわけですが、それ以前の株主に対する思いと上場後の株主に対する思いは岩崎社長の中で違いがありますか。

岩崎:お金がなかった時期が長かったので株主への感謝の念は人一倍強いです。厳しかった時に、投資をしていただいたからこそ、今があるという思いを常に持っています。

 上場して違うのは株価がついて回ることです。株価はその時々、よくわからないままに上下することがあります。当初は、株価というのはあくまでもマーケットが決めることで、自分たちは決めた予算を確実に達成するために進むだけだと思っていました。ところが上場し、IR(投資家向けの広報活動)で個人投資家の方たちと会うと、メディカル・データ・ビジョンの事業内容に共感し、熱心に質問される姿を見て「この事業を成長させるためにもっとがんばろう」という気持ちになります。「そのために自分は何ができるのだろう」と先を考えるようになりました。

 実は当初は、IRもそんなにやりたくないという思いがありました。でも今はかなり力を注いでいます。海外も含めた機関投資家面談も頻繁に行っていますし、個人向けの投資家説明会にも積極的に参加しています。そういう時間を意識して増やしました。少しでも我々の会社のことを理解してもらいたいと思うからです。病院向けソリューション「CADA-BOX」のような新しい商品・サービスも積極的に告知し、会社の本意を伝えていきたい。そういうことの積み重ねで株価が上がると考えています。