さらに医療の質を高めていくために

 今後、メディカル・データ・ビジョンはリアルタームのデータ収集と、患者のより一層の医療リテラシーを高めることによって、さらに医療の質を高めていきたいと考えています。

 現在、患者が医療に対して抱える不満のトップ3は、「待ち時間が長い」「医師の説明がわかりにくくて、不十分」「治療費に不安がある」というものです。

 これらの不満を解消するために2016年10月、病院向けソリューション「CADA-BOX」の提供を始めました。これは病院の電子カルテシステムに接続するもので、患者が自分の診療情報を見ることができるインターネットサイト「カルテコ」と、医療費決済機能を付帯したサービスです。

 患者は、カルテコ閲覧IDを備えた「CADAカード」を使うことで、WEBで診療情報の一部を閲覧できるだけでなく、院内に設置したキオスク端末でそれらの情報を印刷することもできます。傷病の状況を自分でじっくり確認できるほか、他の医療機関を受診する時にも利用できます。

未回収金を減らすソリューションとは

 私たちは、患者さんが望む支払い条件を自由に設定するために、100%子会社のクレジットカード会社を設立しました。CADAカードで支払えば、患者は診察後に会計処理を待たずに済みます。

 一方、病院側も、患者がCADAカードを使えば未回収金を減らせるというメリットがあります。中規模以上の病院の多くは未回収金を抱えています。一般的には毎年2000万~3000万円ほど。多いと1億円を超えるところもあります。未回収金を減らし、会計処理にかかわる人件費も大幅に減らせるということで病院にとってもメリットが大きいシステムです。

 これまでにこの仕組みをテストしたところ、新規の受診患者が2割以上増えた病院もあります。費用対効果が非常に高いソリューションということで、今も導入を待っている病院が何十とあるのです。「CADA-BOX」は、2019年までに厚生労働省が「二次医療圏」として定める全国344エリアの急性期病院に広げていこうと考えています。

3年前から「社内アントレプレナー制度」をスタート

 2017年以降はメディカル・データ・ビジョンにとって「投資回収フェーズ」です。患者からの同意を得て集めたリアルタイムデータを活用し、次から次へと新しいビジネスを生み出していこうと考えています。

 それに先駆けて3年前には社内アントレプレナー制度をスタート。社員が医療データを基にどういうビジネスを仕掛けるかを立案し、自ら責任者としてそのビジネスを実行するという取り組みを続けてきました。

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