自分自身を知り、積み重ね、自信をつける

 その後、私は幾つかGEの傘下企業で社長を務め、2013年の終わりから日本GEの社長に就いています。その都度、新しい経験があり、新しい学びがあります。

 こうした経験を通じて「リーダーシップとは何か」を考えた時、私は「人の心を動かすこと」だと実感しています。

 大きなことをやり遂げるためには、メンバーみんなに納得してもらい、心を動かしてもらう必要があります。それを実現できるのが本当のリーダーシップです。そのためには、影響力と能力が必要です。

 では、人の心を動かすには何が大切なのか。

 1つはまず信頼関係をつくることです。部下たちとはもちろん、上司や同僚とも信頼関係を構築しておくことです。

 信頼関係を築くには色々な立場にある人たちのことを尊重し、話を聞くことが大切。私は「リスペクト」という言葉が大好きですが、まさに、リスペクトの精神、姿勢を持つことだと思います。リーダーとして着任し、いきなり「私の方針はこうですから明日から皆さん、従ってください」というスタイルでは、ついて来てもらうのは難しいと思います。

 リーダーとしての方針が決まったら、それを明確に、シンプルなコミュニケーションで伝えること。リーダーのやりたいことが部下や同僚、上司に伝わらなければ物事は動きません。ビジョンを掲げ、「それに向かってこういうことをやります」とはっきり伝えることが大切です。

 そして、やると決めたら自信と情熱を持ってやり遂げること。不安を抱えたままやると、うまくいくものもうまくいきません。一度決めたら「これが絶対に正しい道」と自分の判断を信じ、みんなと一緒にやり遂げる。こういうプロセスが大事だと思います。

 最後は「Be yourself」です。これは私自身が常に肝に銘じていることです。社員に対してもしょっちゅう言っています。

 「Be yourself」には幾つかの意味が込められています。

 第1に「Know yourself」。自分を知り、強みは何なのか、目指すべきビジョンは何なのか、こだわりは何なのかを理解しておくことです。

 第2に「Build yourself」。今の自分に納得するのではなく、昨日の自分よりも今日の自分、それよりも明日の自分と積み重ね大きくしていくこと。そのためには常に挑戦が必要です。新しいポジション、新しいビジネスを経験するチャンスが来たなら、貪欲に食らいついてほしい。

 最後は「Build confidence in yourself」。そういう色々な経験を通じて、自分に対する自信をつけていくことです。「自分であれ」というからには、「自分に自信を持て」ということです。不安で自信が得られないままメッセージを伝えても周囲には浸透しません。

 強みを把握し、やりたいことが明確になっていて、決めたからには自信を持ってそれを伝えられるという要素を兼ね備えてこそ、人の心を動かすことができるのだと思います。

 「Be yourself」とは日々、築き上げた1歩ずつのつながりです。私も今もなお経験を通じて学び、1歩を積み重ねています。長い旅路、自分に言い聞かせ、また社員に伝えているのは「Be yourself,move their heart and continue building」。この言葉を念頭に日々の仕事に向き合っています。

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