意識改革、まずは役員から

 従来のGEには徹底的に分析をし、時間をかけて完璧なものをつくり上げ、市場に出そうという気風がありました。

 しかし、今は変化のスピードが速く、時間をかけて製品をつくっていては、市場に出した時にニーズが変化してしまっているという時代です。新製品開発も、日々の仕事も、ファストワークスの概念に沿って取り組むことが必要と、今、まさにカルチャーチェンジを図っている最中です。

 GEは新しいことをスタートする際は経営トップ層から手を着けます。新たなトレーニングを受ける際にまず対象となるのは役員。「このトレーニングは役に立つ」と役員全員が腹落ちしたら下の社員に落としていくというやり方を採ります。

役員が最初のトレーニングを受ける

 リーン・スタートアップを学ぶ際にも、最初にトレーニングを受けたのは役員でした。長年GEで要職を担ってきた堅物の役員連中が、30代のジーパン・スニーカー姿のエリック・リースから「皆さん、考え方が古いですよ。これからのビジネスはこうでなくては」と話をされるのですから、正直なところ、最初は「何を言っているんだ、この若造は」という反発もありました。

 けれど、話を聞くにつれ、誰もが「なるほど。確かにそういう時代だ」と納得し、会社を変革しなくてはどんどん遅れてしまうという認識を持つようになりました。

 役員がみな腹落ちしたことで、今は下のレベルにトレーニングを普及させている最中です。最終的には30万人全員の社員がこのトレーニングを受けることになります。

 また、GEの社員が重視すべき価値観も変えていこうとしています。

 以前は「GEバリュー」という5つのポイントがありました。「外部志向」「明確でわかりやすい思考」「創造力と勇気」「包容力」「専門性」です。世界中のGE社員がこのGEバリューを書いたカードをバイブルのように持っていました。

 これを2014年にガラリと変え「GEビリーフス」としました。「お客様に選ばれる存在であり続ける」「より速く、だからシンプルに」「試すことで学び、勝利につなげる」「信頼して任せ、互いに高め合う」「どんな環境でも、勝ちにこだわる」という5つの価値観を示しています。

 GEバリューは社員が持つべきものを示したものでしたが、今のGEビリーフスは我々が将来進むべき方向を示したものと言えます。

 GEバリューは本社から英語で来たメッセージを翻訳会社に翻訳してもらい、人事部がチェックして社員で共有する形をとっていました。

 今回は日本におけるGEの社員に日本語訳を考えてもらいました。「直訳でなくても構わない。一番ぴったりくる日本語を考えよう」と訴えかけ、アイデアを募集しました。たくさん届いたアイデアの中から最も良いものを寄り集めて仕上げたのがGEビリーフスです。このやり方も今の時代に合っているのではないかと思います。