「社内で完璧なものをつくる」という発想を転換

 グローバルブレインの取り組みも進んでいます。

 GEはテクノロジー主導型の会社なので、これまでは世界で一番優秀な技術者を雇い、徹底的に研究して完璧なものを作り上げ、世の中に出そうという気風がありました。

 昔はそれで良かったのですが、今ではそんなことをやっていたら間に合いません。何年もかけて徹底的に研究し、やっとの思いで世の中に出したときには、もう顧客のニーズは変わってしまっているという時代です。重要なのはスピードです。色々なアイデアをできるだけ早く取り込み、できるだけ早くモノにする。そのためにはオープンイノベーションの考え方が必要です。

 こうしてグローバルブレインの考え方を導入したところ、新しいものが次々と生まれてきています。

 機械設計のエンジニアたちが作成したCADデータを交換するサイトを運営するGrabCADという会社があります。GEはある時、このサイト上で3Dプリンターを利用した航空機エンジン用部品の次世代デザインを募集しました。

 世界100カ国弱から700件ほどのアイデアが集まりました。その中で最も良いものを次世代パーツとして採用したのですが、その提案をしてきたのはインドネシアの非常に若いエンジニアです。それまでGEとも航空機エンジンとも何の関係もなかった人物です。

 我々は社内に素晴らしく優秀な技術者を数多く抱えています。けれど、それよりもはるかに良いアイデアを外部で発見できたわけです。

 最近、開始したのが「インダストリアル・リミックス・チャレンジ」というプログラムです。世界中の大学生を対象に、GEがこれまで開発した既存製品の新しい用途を考えてもらおうという内容です。

 例えば医療用として使われている小型MRIを全く違う用途に使えないか――。公募を行い、こんなアイデアを集めている最中です。最優秀作品を出した人はニューヨークにペアで招待します。日本でも産官学と多方面に話し合いをしながら、埋もれた技術をできるだけたくさん取り入れていこうという活動を始めています。

 2014年には日本GE本社にオープンイノベーションの中核拠点として「GEグローバル・イノベーションセンター」をつくりました。顧客や専門家に来てもらってGEのエンジニアと情報交換をしたり、ビデオ会議で世界中のR&Dセンターとつなげたりと、交流してもらう機会をつくっています。

 このように世界中の色々なアイデアをどんどん取り込み、社内で何でもかんでも完璧にやり遂げようというカルチャーを変えようとしているところです。

 今、GEが取り組んでいる変革は、これまでの変革とは比べものになりません。私がGEに在籍した31年ほどの経験の中では最大です。非常に大きな挑戦ですが、役員全員が熱意と信念を持って進めています。必ず成功させたいと思います。

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