例えば、航空機エンジンの領域では、インダストリアルインターネットによって生み出したソリューションをマレーシアの航空会社、エアアジアに提供しています。

 我々のジェットエンジンには100個以上のセンサーが付いています。このセンサーからは部品の劣化具合、エンジンの稼働状況など様々なデータを得ることができます。もともと、このデータは部品の交換時期の予測や故障の防止に活用していました。

 そこに新たなビジネスを加えました。独自開発した「フライト・エフィシェンシー・サービス」というソフトウエアを利用し、ビッグデータを解析して、より効率の良いフライトスケジュールや効率の良い飛行計画を提案できるようにしたのです。

 例えば「ある空港に着陸する際、降下の角度やスピードはこう変えると効率が良くなり、燃費が向上する」といったソリューションを提供します。顧客の役に立つ提案をすることで、エンジンメーカーとしての付加価値を高めているのです。

 米国のノーフォーク・サザンという鉄道会社に対して提供したソリューションもあります。ディーゼル機関車に取り付けたセンサーから様々なデータを読み取り、効率良く、使用燃料を少なくするための走り方を提案するというもので、結果的に6.3%の燃料削減と10%超の平均速度向上に寄与しました。

 独エーオンという電力会社向けには風力発電所で効率よく発電するためのソリューションを提供しました。約280本ある風車にセンサーをつけ、それぞれの風車が風に対して最適な角度を調整できるようにするソフトウエアを開発。風上にある風車の角度、その後ろにある風車の角度などを自然に最適調整できるようにしました。これによって発電効率は4%向上しました。

3Dプリンターを活用した製造で強度5倍に

 アドバンストマニュファクチャリングについても具体例をお話ししましょう。

 典型例は3Dプリンターです。3Dプリンターを利用すると、今までにないものが作れたり、今まで非常に時間がかかっていたものを短時間で製造できるようになります。こうなるとサプライチェーンも大きく変わります。

 例えば我々が製造し、販売しているジェットエンジン。今は顧客からパーツの注文が入ったら米国の工場で製品を作り、検査をし、製品を発送し、現地で交換するという流れで対応しています。

 3Dプリンターを使った製造が当たり前になれば、パーツの設計データだけを送り、顧客の元で3Dプリンターを使ったパーツ製造ができるようになります。この場合には発送という手順が必要なくなります。製品在庫も不要。金属パウダーさえあれば必要な時に必要な部品を作れます。製品を金属加工するには切り粉が出たり油も必要だったりしますが、そうしたものも一切なくなりますから、工場をきれいに保つこともできます。

 既にジェットエンジンのパーツで燃料ノズルという複雑な形状をした製品を3Dプリンターで製造しています。従来は金属加工、ろう付け、溶接と多くの工程を経て作り込んでいましたが、3Dプリンターだと1つの工程で出来上がります。生産性が上がる上、パーツそのものの強度が従来製品の5倍にもなり、メーカーも取引先もウィン・ウィンの関係を実現できる製法と言えます。

 GEオイル&ガスの新潟県刈羽事業所では3Dプリンターを利用したバルブ製造に取り組んでいます。非常に形状が複雑で従来、3カ月ほどかけて作っていたバルブを2~3週間で作れるようになりました。引き続き検討すべき要素もありますが、今後、用途はさらに広がっていくことでしょう。

 GEパワー&ウォーターは2015年11月、米サウスカロライナ州に高度かつ最新の製造技術を導入した施設「アドバンスト・マニュファクチャリング・ワークス」をオープンしました。16台の3Dプリンターを稼働させているほか、工場全体のスマート化も進めました。従来の油まみれの工場とは全くスタイルの違う新しい施設になっています。

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