ハードウエアは空箱になりかねない

 これまで、GEはハードウエア主体のテクノロジーカンパニーでした。発電機であれ、ジェットエンジンであれ、徹底的にテクノロジーを生かした機器を作り、販売する。その後でサービスやメンテナンスを行う。これが基本的なビジネスモデルでした。しかし、これだけでは競合に打ち克つだけの十分な差異化はできません。

 もう一歩先に行くため、ソフトウエアやデジタル分野の技術にさらなる投資を行い、ハードウエアと組み合わせることで新たな付加価値を創造する。「デジタル・インダストリアル・カンパニー」を目指そうというのが今、進行中の変革です。「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」の活用を進めようという世の中全体の流れに沿った取り組みです。

 こうした発想はGEが抱く危機感から生まれたものと言えます。

 ビジネス界を見渡すと、米グーグル、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどソフトウエア、デジタル技術を核としたIT(情報技術)企業がどんどん伸びてきていています。彼らが次に狙うのは、これまでハードウエアカンパニーが世界中で販売してきた産業機器です。ビッグデータを集め、彼らが持つソフトウエアやデジタル技術をプラスし、産業機器をさらに有効活用できるようなソリューションを提供するビジネスモデルをつくりあげようとしています。

 これが実現したら、我々が販売するハードウエアは単なる空箱になりかねません。ビジネスの“ミソ”となる部分、利益の源泉となる部分は全部IT企業に持って行かれてしまいます。

 ハードウエアを持つ我々が、プラスアルファでソフトウエアやデジタル技術も備え、新たな価値を提供できれば非常に強い存在になれるはず。そう考え、デジタル・インダストリアル・カンパニーへの変革に向け思い切った投資を実行しています。

 2011年11月にはシリコンバレーに「GEグローバル・ソフトウエアセンター」を設立しました。ソフトウエアエンジニア、データ解析ができる専門家など1200人を集めた研究所です。

 長髪でジーパン、ポロシャツ、スニーカー姿の社員がたくさんいるこのソフトウエアセンターは、従来のGEの研究所とは雰囲気の全く異なる研究所です。出勤時間も仕事をする場所も本人に任せる。そんな自由闊達な環境の中で新しく画期的なソフトウエアも次々に生まれています。

エネルギー効率を向上する飛行計画まで提案

 次世代型製造業へと変革する際の切り口は3つあります。

 1つ目は「インダストリアルインターネット」。センサーを付けた機器から集めたビッグデータを活用し、ソリューションに結び付けようという考え方。

 2つ目は「アドバンストマニュファクチャリング」。今までなかったような新しい技術やインターネットを生かした新しい設計などを取り入れ、製造の仕組みそのものを変えてしまうという考え方。

 3つ目は「グローバルブレイン」。世界中の人々の知見やノウハウを活用しようという考え方で、いわゆるオープンイノベーションです。既に、これらの切り口からビジネスに結びついた事例も出てきています。

 いくつか紹介していきましょう。

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