部下育成のコツは、欠点を指摘するのではなく、優れた点を伸ばすこと

受講者:リーダーは部下の育成が非常に大きな仕事だというお話がありました。私自身、今、十数人の部下を抱え、全員育成をしたいと思っているのですが、成長の意欲のない部下というのも少なからずいます。上司からは、「そういう部下の意識を変えるのもリーダーの仕事」と言われるのですが、自分としてはちょっと釈然としないものがあります。そのあたりについて、山田さんはどうお考えかお伺いしたいです。

山田:人は100%、「向上したい」と思っているものです。それは絶対に確かです。あなたが「成長の意欲がない」と感じる部下は、そういう意欲があることを言葉に出して言わないのかもしれないし、向上したいと思っていたけれど諦めてしまったのかもしれない。学校で勉強を諦めてしまった人と同じ。勉強を諦めてしまった人にも勉強を教えて、それができて、「エライね」と言われたら嬉しい。けれど、例えば基礎ができていないとか、勉強の姿勢ができていなかったりするために、その後がなかなか続かない。悪循環になってしまっているのです。

 だから、成長の意欲がないように見える人も、実際には意欲はあるのだと思って、粘り強く言い続けてあげることが大切だと思います。極論すれば、優秀な人は放っておいてもいいのです。勝手にどんどん成長していきますから。そうではなく、不器用な人の仕事をどう探してあげるか。働く場所をどうつくってあげるか。そのためには、その人の優れた点を見つけて価値を認めてあげないといけない。基本的には一人ひとりの部下に対する愛情を持つこと。それがあると、前に進むのではないかという気がします。

成長の意欲がないように見える人も、実際には意欲はあるのだと思って、粘り強く言い続けてあげることが重要だ。※写真はイメージです(写真:buri327/123RF)
成長の意欲がないように見える人も、実際には意欲はあるのだと思って、粘り強く言い続けてあげることが重要だ。※写真はイメージです(写真:buri327/123RF)

受講者:社員に働きがいを持たせるためにとってきた施策があれば教えてください。

山田:働きがいの源は「認めてもらうこと」です。「これはお前に任せるよ。頼むね」と言われれば苦しくても働きがいを感じるでしょう。そのためには部下のいいところを見つけてあげて、「君はここが優れているからこれをやってね」と言ってあげることではないでしょうか。

 部下の育成というと、欠点を直そうとしがちです。「お前はこういうところが良くない」と。しかし、欠点はある程度放っておけばいい。それよりも良いところを見つけてあげる。

 ゴルフの腕前を上達させようと思ったら、その日、良かったことをノートに書き留めることが大切です。IQが高い人は反省点を書こうとするのですが、そうすると悪い点が記憶に残ります。そうではなく、「今日はこの点が良かった」と書く。そうすると良かったことが定着します。人間が向上するには、いかにして良いところをさらに伸ばすかがテーマとなります。ぜひ良いところを伸ばすことを、心がけてみてください。(了)