受講者:高い目標を掲げていくことが重要というお話がありました。一方で、高い目標はいつも達成できるとは限りません。また、山田さんのおっしゃるように、明るく元気にやろうと思いつつも、長く走り続けると消耗して続かなくなることもあるかもしれません。高い目標を掲げて明るく元気にやってもらうことをどう持続させていくか。その辺のバランスの取り方を教えてください。

山田:それは難しいところですよね。やっぱり高い目標を掲げるということは、苦しくなってしまう恐れもあります。でも人間って不思議なもので、例えば、「販売を150%に増やそう」という目標を掲げたとして、心から「自分たちがやります」と言ったのならば、少々、大変でもやれるものです。

 だから高い目標を掲げる時にはみんなで議論をして、相談をして、「これで行こう」と納得することが大事。やはり、「一人称」になってもらうことです。上司が高い目標ばかり要求するのでは行き倒れになります。そこはよく見ていかないといけない。一方で、上司が何も言わなければどんどん下に落ちてしまいます。易きに流れるというのが人間の本性ですから。

 高い目標を掲げるとエネルギーが出てくるのですが、人から言われてエネルギーをつくるのは苦しい。自分からエネルギーをつくるのが一番望ましいわけです。リーダーにはその辺を加味して、「みんなで頑張ろう」という雰囲気をつくることが求められます。日頃からコミュニケーションをよく図ることが大事ですね。

「『みんなで頑張ろう』という雰囲気をつくることは、リーダーに課せられた重要な役割です」(写真:陶山 勉)
「『みんなで頑張ろう』という雰囲気をつくることは、リーダーに課せられた重要な役割です」(写真:陶山 勉)

ガバナンスはあくまでもステップ、信頼感の醸成が不可欠

受講者:私が勤めている会社は、よくいえば「ガバナンスがしっかりしている」のですが、切手を買うにも決裁が必要とか、なかなか面倒くさいことがあります。先ほど、日本では「性善説」で経営する方がうまくいくというお話がありましたが、性善説でやっていくことと、企業統治とをどのように両立させていくべきなのか。お考えを聞かせてください。

山田:ガバナンスとは「統治」。上から目線ですよね。コーポレートガバナンスっていうと、なんだか音の響きからして立派な制度のように聞こえますが、実際にやられる方はなかなか息苦しい。私はガバナンスというのはあくまでも1つのステップで、大事なのはお互いの信頼関係をつくることだと思います。現実として、たくさんの社員がいる企業では、社員の中には悪いことをする人間もゼロではないかもしれない。ただ、みんなで「信頼感を持ってやろうね」という雰囲気がつくれていると、そういう人間は徐々に減っていくと思います。それをガバナンスだけでガチガチに縛ると、息苦しいだけになるかもしれないですし、定められたこと以外は何をしてもいいと思ってしまうかもしれない。それはそれで恐ろしい気がします。

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