成長が止まる時期(プラトー)が続いても、粘り強く努力を続けよ。ある時、一気に上に行ける瞬間が来る。(写真:bialasiewicz/123RF)

【実行こそ重要】 「プラトー現象」を乗り越える

 第8に「実行こそ重要」。企画は重要です。しかし、実行が伴わなければ何の成果にも結びつきません。どんな企業も戦略・戦術をつくる経営企画部にはIQの高い優秀な人が集まっていると思います。出てくる戦略・戦術は素晴らしいものが多くあります。「素晴らしい」と褒めてもらうと、つくった人は、あたかも実行できたかのように錯覚してしまいますが、素晴らしい戦略・戦術ほど実行するのは難しいのです。素晴らしい戦略・戦術も実行できなければ絵に描いた餅に過ぎません。実行できてこそ、お客様のためにも会社のためにもなるのですから、実行する部門が評価されるべきです。

 実行に当たって注意しておかねばならない事があります。それは「プラトー現象(高原現象)」です。横軸に努力、縦軸に効果を取ったグラフをつくると、最初は右肩上がりで目に見えるように効果が出ます。しかし、ある段階で努力をしても成長が止まる時期(プラトー現象)が続きます。それでも粘り強く努力を続けると再び向上するという現象です。プラトー現象はどんな分野にも存在します。典型例がスポーツですが、会社の業績も同じです。新しい施策を実行すると最初はうまくいくものの、そのうち、成果が出なくなってしまうことが多いのです。それでも粘り強く努力をしていると、ある時、一気に上に行けます。

■図 プラトー現象(高原現象)

【PDCAの徹底】 「問題点を教えてください」と聞く

 第9は「PDCAの徹底」。 Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルをしっかり回すことです。企画の仕事は実行段階に入って終わりではなく、困難や見込み違いを迅速に把握し見直しにつなげることが重要です。施策をつくってから実行までにタイムラグもあります。うまくいかない場面が出てきた時に、それを早く見つけて立て直すには、施策をつくった人が現場に行って実行状況を把握することが重要です。

 現場に行った時、「施策はうまくいっていますか」と聞いてはダメ。現場は「まあまあです」「なんとかうまくいっています」などと言うしかなくなります。「施策の足りないところや問題点を教えてください」とたずねると、価値のある答えが返ってきます。

【イノベーションの発揮】 高度な技術ばかりが必要なわけではない

 最後に「イノベーションの発揮」です。企業が新たな成長を目指すためには様々なレベルでお客様の期待を上回る必要があります。お客様の期待を上回るにはイノベーションによるブレークスルーが大きな役割を果たします。イノベーションといっても、必ずしも高度な技術ばかりが必要なわけではありません。お客様視点で技術を効果的に組み合わせることによって、お客様の期待を上回るサービスを生むことがあります。

 ドコモは研究所には年間約1000億円ぐらいの経費をかけ、技術開発をしています。世界的にも高い評価を得ていて、素晴らしい技術を生み出しています。ところが、その素晴らしい技術が売れるかというと、そうとも限らない。いざ売り出してみたらお客様が振り向いてくれないということもあります。作った人は残念に思ってその技術をお蔵入りさせてしまうのですが、私は「お蔵入りさせずに目に見える棚に並べておいてくれ」と言っていました。幾つかの技術と組み合わせると、状況や環境が変わった時、一気にブレークするかもしれないからです。

 イノベーションというのは技術の進歩ではありません。お客様がどれだけそれを評価してくれるかなのです。お客様の満足度を上げることを考えて、いろいろな技術を組み合わせサービスを出していくことが重要。お客様が基点にあってのサービス・イノベーションであるということを認識するべきだと思います。