
勇気百倍で国技館に近づくと、何やらチラシを配っている人たちがいる。スーツ姿で見るからにインテリっぽい人たちなので、特売セールではなさそうだ。チラシの表紙にはこう書いてあった。
- 東芝事件株主弁護団
- 東芝の不正会計事件に関心のある方へ
- 東芝に正しい経営をして欲しいと願う方へ
- 東芝の不正会計事件は、様々な角度から考える必要があると思うのです。
- 「東芝 弁護団」で検索してください。
全部、ワシに当てはまるではないか。あとで検索してみよう。
忙しそうにチラシを配る若者の背後から近づいて、聞いてみた。
「今の時点で、集団訴訟に加わった株主は何人ですか」
「1000人を目指しています」
彼らは優しく教えてくれた。
「380人くらいです。とりあえず1000人を目指しています。集団訴訟としてはライブドア事件以来の規模になりますよ」
なるほど、闘っているのはワシだけではない。東芝不正会計を「このまま、うやむやにしてはいけない」と思っている人は世の中に大勢いるのだ。ますます勇気が湧いたシニア記者である。
定刻の午前10時、室町正志社長の挨拶で東芝の第177期定時株主総会が始まった。
昨年7月に社長に就任してから1年足らず。室町氏にとってはこれが社長として最後の仕事だが、話しぶりはいつもと全く変わらない。淡々と前期の業績を報告し、力を入れてきたガバナンス改革の説明をした。
取締役の人数を16人から11人に減らし、過半数を独立社外取締役にする。取締役会議長も社外にする。7つあった社内カンパニーを4つに集約する。
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