それでもシニア記者、ロボホンは大いに気に入っております。古くはゼンマイ式自動髭剃り器、カセットテープが二つ入るダブルデッキのラジカセ、ビデオカメラに液晶パネルをつけた「液晶ビューカム」、電子手帳の「ザウルス」など。シャープはいつも時代のチャレンジャーだった。

 カシオ計算機との「電卓戦争」を戦ったとき、当時、技術担当の副社長だった佐々木正さんは、創業者の早川徳次翁に「他人に真似される製品を作りなさい」と鼓舞された(詳しくは拙著『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア』をお読みくだされ)。これぞシャープのDNAではありませんか。

 もちろん、ロボホン一発で立ち直るほど、シャープの危機は軽くない。目標の5000台を売り切っても、売り上げは10億円。ひょっとしたら売れても赤字かもしれません。

馬鹿馬鹿しさに、誇りを込めて

 しかし、金だけの問題ではないのです。今は亡きスティーブ・ジョブズ氏も言ったように「ステイ・フール(バカであり続ける)」が大切なのです。1000台の予約と記者会見の熱気が、それを証明しています。

 本当に久しぶりに「バカバカしく、誇らしい商品」を見せてもらいました。バブル崩壊後、四半世紀、日本の電機メーカーが失っていたものを、シャープはロボホンで取り戻したように思います。

 ただ、これ一発では何も変わりません。生命の危機に瀕した生物が子孫を残そうとするように、消滅直前の企業がそのDNAを凝縮したような商品を残すことがあります。

 例えば三洋電機の「ゴパン」。お米から手軽にパンが焼けるホームベーカリーは、小麦アレルギーの子供を持つ家庭の福音でした。乗用車から撤退する直前に、いすゞ自動車が売っていた街の遊撃手「ジェミニ」も名車でした。何を隠そう、シニア記者が最初に買ったクルマである。

 シャープにはホンハイの傘下で、ロボホンの元気なDNAを守り続けてもらいたい。そのためには、まずはテリー・ゴウ会長のスパルタ訓練に耐え、落ちた体力を取り戻さねばなりません。

 頑張れロボホン。君がシャープを救うのだ!