高橋社長:「それは私にとって最も難しい質問です。野球の解説者ではないので、あの一球が、みたいなことは言えません。その時、なぜ、そう決断したかというのは、当事者になってみないとわからないのです

(前任、前々任、そのまた前の社長を)かばう訳ではないですよ。でも、(「イノベーションのジレンマ」の著者)クリステンセンが言っているように、経営者は日々正しい判断をしながら会社を崩壊させているのかもしれない。経営者というのは成功し続けるしかない。一つ失敗したら、それで終わりなんですね」

さぞ無念ではありましょうが

 シニア記者はメモを取る手を止めて、高橋社長の顔をじっと見た。目と目が合う。本音だと思った。

 1部残留をかけた最後の試合で、後半から監督になったような高橋社長である。フォーメーションをいじったり、選手を鼓舞したり、いろいろやったが、やっぱりチームは2部に降格した。無念であろう。

 だがホンハイという新しいスポンサーを獲得した。次のシーズンからは選手を補強して新たな体制で戦える。ホンハイとの難しい交渉をまとめ、その可能性を残したのはあなただ。

 出資の払い込みが終わり「テリー劇場」が始まれば、世間はあなたを忘れるだろう。さらば高橋社長。私はあなたを忘れない。