それにしてもひどい決算だ。かねて日経ビジネスが指摘してきた米原発子会社の減損処理に踏み切った影響で、連結営業損益は7191億円の赤字。単独では約1000億円の資本欠損に陥った。近々、減資だろう。自己資本比率は5.8%。半導体と原発という、巨額投資が必要な事業を手がける会社としては、あまりにペラッペラな資本である。

 手を上げ続けるシニア記者。だが指名権を握る広報氏は、目を合わせてもくれない。時計に目をやると2時50分。タイムリミットである。

「こんな吹けば飛ぶような資本で、どうやって半導体事業に向こう3年間で8600億円もの投資をするのですか」

 シニア記者がしたかったのは、この質問だ。虎の子のメディカル事業も売ってしまったし、もう目ぼしい資産はない。この状態の会社に銀行がそんな大金を貸すだろうか。だが広報氏は当ててくれない。後ろ髪を引かれる思いで東芝本社を後にし、隣のシーバンス南館へと走る。

シャープの広報部長は指名してくれた

 到着は午後3時7分。ギリギリセーフである。すでに会場は満員だが、悠然と最前列に座るシニア記者。お友達の海外メディア記者が席を確保しておいてくれたのである。ありがたや、ありがたや。

 しかし、まあ、こちらの決算もひどい。2559億円の最終赤字で、単独、連結とも債務超過である。ホンハイからの出資金が払い込まれるまでのこととはいえ、事態は深刻だ。なんでここまで来てしまったのか。

 それを聞くため質疑応答で手を上げ続けた。広報部長と目が合う。
 「では最前列、左から3人目の方どうぞ」
 やった!ワシのことだ。

シニア記者:「高橋社長に伺います。ホンハイの出資で合意した後、テリー・ゴー会長とは何回会いましたか。そこで、これだけはやってくれとか、これだけはやめてくれというようなお願いはされましたか」

高橋社長:「ずっと一緒にやってきましたから、何回会ったか数えられません。私も社長をやってきたから、わかるのですが、これから経営をする人に、前任者があれこれ言うべきではないと思います。経営環境か刻々と変わるので、その時の社長が、その都度、判断するのが一番正しい」

シニア記者:「そもそもシャープはなんで、ここまで弱ってしまったのか。振り返って、失敗はどこだったと思いますか」