ついに今日、東芝は原発事業での減損を認めた

 後でわかることだが、この頃、東芝はインフラやらパソコンやら、あっちこっちの部門で社長に「チャレンジしろ」と脅されて、せっせと利益を水増ししていたのである。

 その不正がばれた。(東芝が雇った)第三者委員会が立ち上げられ、不正の全貌を明らかにした(本人談)。だがウエスチングハウスは調査の対象から外された。

 「それはおかしいでしょ。一番怪しいのはウエスチングハウスでしょ」

 「ウエスチングハウスは好調」と言い張る東芝に対し、日経ビジネスは食い下がった。そしてついに、ウエスチングハウスが単体でこっそり減損していた事実を突き止める。

 「ほらみろ、やっぱりあるじゃないか」

 それでも東芝は「ウエスチングハウスの減損を開示しなかったのは謝るが、東芝本体が減損する必要ない」と言い続けた。

 「いや、それはおかしい。子が1000億円も減損してるのに、親は関係ないって、どんな親やねん」

 日経ビジネスはしつこくしつこく食い下がった。

 真実というのは、いつまでも隠しおおせるものではない。ついに今日、東芝は「原発事業で2600億円を減損する」と認めたのである。

シニア記者の心は晴れない

 完勝、ではある。だがシニア記者の心は晴れない。

 ウエスチングハウスの「のれん」に3000億円もの価値がないことなど、2009年3月にはわかっていた。しかし、それを認めてしまえば、債務超過になるほど、リーマン・ショックで傷んだ東芝の財務は厳しかった。だから不正会計に走った。

 不正会計が明るみになる過程で、東芝経営陣は「いつかはウエスチングハウスを減損しなければならない」と覚悟したはずだ。だが減損すれば債務超過。そこで資産売却を急いだ。

 リストラの常道は不採算事業を切り離し、利益が出る事業に資本と人を集中することである。それこそ、東芝が得意な「選択と集中」だ。

 しかし東芝は稼ぎ頭の医療事業をキヤノンに売った。

 なぜか。

 ウエスチングハウスの巨額減損を控え、キャッシュを積み上げておく必要があったからだ。

 記者会見した室町社長はウエスチングハウスの巨額減損について「重く受け止める」と語った。だが、志賀重範副社長は「今回の減損は東芝の資金調達力が落ちたことが原因で、ウエスチングハウスの事業そのものは順調です」と付け加えた。

 そう。まだ東芝は全てを語っていないのだ。

 ウエスチングハウスの企業価値は「2029年までに64基を新規受注する」というバラ色の計画を根拠に、算定されているのである。

 戦後70年。日本に作られた全ての原発が54基。それをはるかに上回る原発を作るというのだ。まあ、そうなれば、確かに大儲けですね。

 本気ですか?

 東芝の株主や債権者、そしてその頃には年金受給者になっているシニア記者も、バラ色の「東芝劇場」にあと13年も付き合わねばならんのだろうか。

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