中国ではモバイクや同社に並ぶ大手の「ofo」のほか、複数のサービスが次々と誕生し、激しい競争が繰り広げられている。各社が自転車の設置台数を増やしていった結果、一部ではシェア自転車が街頭に山積みになるなどの問題も発生している。

中国ではシェア自転車が一気に普及したため、自転車が道路に溢れるなどの社会問題も引き起こしている(写真:町川 秀人)
中国ではシェア自転車が一気に普及したため、自転車が道路に溢れるなどの社会問題も引き起こしている(写真:町川 秀人)

 モバイクは中国では、不適切な場所に駐輪した利用者にはその後の利用料を高くするなどのペナルティーを課す一方、不適切な駐輪を報告した利用者には特典を与えるなどの手法で、マナーの向上を促してきた。また、駐輪可能な場所以外に置かれた自転車を移動する係員を配置している。

 日本では都市中心部の駐輪スペースが少なく、駅前や繁華街の放置自転車に苦しんできた自治体も多い。それだけに日本での展開は簡単ではないようにも思えるが、どのようにサービスを進めていくのか。 

日本での普及には自治体の協力が不可欠

 モバイクは6月22日の日本法人設立の発表会を福岡市と共同で開いた。このことからも分かるように、日本では自治体と連携して普及を図る方針だ。モバイク海外展開統括のクリス・マーティン氏は「自転車の台数よりも(サービスの)クオリティーを重視する。利用者や自治体としっかりとコミュニケーションが取れなければ失敗する」と話す。

 日本では公共施設などのほかコンビニエンスストアやスーパーといった民間企業とも連携して、モバイクを駐輪できるスペースを確保していく。支払いはアプリにクレジットカードなどを登録する形になりそうだ。料金は「利用者が気にならないぐらいの金額になる」(マーティン氏)。

 ただ22日の発表会では具体的なサービス開始時期や日本での目標設置台数、料金体系などは明らかにされなかった。「駐輪スペースを十分に確保するなど、しっかりと準備をしてからサービスをスタートさせたい」とマーティン氏は言う。

 日本に長く住み日本企業で働いた経験もあるマーティン氏は、慎重にサービスを導入する必要があると考えているようだ。それでも日本市場に進出するのは「日本市場でうまくいけば、世界のどの市場でも成功できる」との思いがあるからだという。ただ設置台数が少なすぎれば利便性は上がらず、一方で多すぎれば中国のような問題が起きるのがシェア自転車の難しいところだ。

 今回の日本法人設立にあたり、モバイクと福岡市は今年3月ごろから話し合いを進めてきた。まだ具体的な時期などはっきりとは決まっていないものの、わずか3カ月ほどでサービス開始にメドが立った格好だ。「アジアのビジネスハブを目指す」(福岡地域戦略推進協議会の石丸修平事務局長)とする福岡市の構想がこのスピード感を生み出した。

 その一方で福岡市内部でも街にシェア自転車があふれることを懸念する声は根強くあるという。日本でモバイクがどの程度、広がっていくか、現時点で予想することは難しい。普及にはもちろんモバイク側の努力も欠かせない。一方で、日本側も新しいサービスを受け入れ、育てられる受容力があるかも試されていると言えるだろう。

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